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''こころの罠''

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本能のセキュリティシステム

  • 人間には、嫌なこと、痛いこと、苦しいこと、辛いことなどなど、苦悩苦痛を避ける本能があります。
  • これは、本来、死ぬことや殺されることという著しい脅威から逃れる本能に起因するものです。
  • 「うつ」や「不安」なども病的症状レベルにまで達すると、通常の苦悩を超えた脅威となり、
  • 生存のための本能のセキュリティシステムが作動します。
  • この本能のセキュリティシステムは強烈です。
  • なにしろ命に関わるものなのですから著しく強力です。

セキュリティシステムの誤作動

  • 実際は非常に複雑で分かっていないことも多いのですが、非常に乱暴な言い方をするなら、「脅威刺激」として目・耳・匂いなど五感から入力された知覚情報は、脳の知覚中枢を経由して自律神経中枢に伝達されます。
  • そして、その脅威に対して「逃げるか闘うか」反応を惹起します。
  • 具体的には交感神経が興奮してカテコールアミンが分泌され、心臓の鼓動が激しくなって脈拍が速くなり、呼吸も速くなって「逃げるか闘うか」のために筋肉への血流を増やし筋肉により多くの酸素を供給して素早く動けるようにします。
  • 体が震える武者震いのような現象は、筋肉を震えさせることで筋肉を暖め、より運動しやすくするために生じます。
  • これで「逃げるか闘うか」のための身体的状態が整うのです。
  • 同時に、扁桃体など情動の脳が活性化され不安・恐怖・緊張・怒りなどの情動が生起し知性や思考の意識(思考の脳)に伝達されます。
  • これは、危険だぞ!逃げるか闘え!という信号を思考の脳に送ることを意味します。
  • さらにこれらの情動刺激と知覚刺激が思考の脳に送られ「これはトラが今3mに至近距離まで接近して逃げることはできないし、トラには勝てないが勝てないからといってそのまま食べられるわけにはいかない!手には石斧を持っているから無駄でも闘うしかないぞ!」とかいう思考判断が生じるのです。
  • これらの反応は、一般に考えるように、「考えてから反応行動する」のでは危機状況への対処が間に合わないので、危機状況により早く対応できるよう本能のセキュリティシステムに組み込まれ、「反応してから考える」のです。
  • まずは知覚から直接的に体を闘える状態にし、不安という信号で意識(思考)に危機状況にあることを教え、それから思考で「逃げるか闘うか」を判定させるというメカニズムが構築されているといえます。
  • トラに襲われることは現代の日本ではないかもしれませんが、本能に組み込まれたシステムですので容易に過剰作動(誤作動)します。
  • 作動しなくて殺されるより、過剰作動しすぎて生き延びる方が生存に役立つからでしょう。

不安など精神症状は強烈な脅威とみなされる

  • 精神症状についてもこの本能のセキュリティーシステムは発動します。
  • 通常の病的でない不安の経路は、
  • 「ある状況→過去の経験と自分の能力から対処不能であるとの判断→不安」ですが、
  • 病的不安の場合は、
  • 「ある状況→具体的不安→漠然とした対象のない不安」とか「ある状況→漠然とした対象のない不安」「自然発生した原因のない不安」という形をとるのが一般的です。
  • 「不安=死の危険」という本能のセキュリティシステムが誤動作しはじめるのです。
  • 死の危険が迫っているという信号としての不安ですからそのメッセージは強烈です。
  • 何も目の前に生じていないのに殺されるメッセージ(不安)が発せられるのですから、
  • 「とにかく何か破局的な恐ろしいことが生じてる」と思考の脳は判断してしまいます。
  • 不安だ!→危険だ!→でも目の前では何も生じていない→でも不安だから何か大変なことが起こっている→不安だから不安なんだ!
  • すなわち「不安ととい自己感覚を根拠として不安になる」→不安になる現実的根拠がないため、通常は現実的根拠が解消することを根拠として生じる「安心していい」という目印(停止信号)が生じない→安心するということが生じない→不安が治まらない→悪循環
  • これが病的不安が自然治癒しないメカニズムです。
  • 抑うつ症状は認知やメタ認知の処理過程がより関与していますが、概ね同様の処理が行われます。
  • 本能のセキュリティシステムの誤動作を、思考過程を経由して正常化していくのが面接治療です。
  • 当院では、可能な限りこの誤動作を修正する面接を行っています。

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