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新型うつ病?否「新型的うつ状態」

新型うつ病?否「新型的うつ状態」

北九州市で開催された第10回日本うつ病学会で「新型うつ病」についての暫定的コンセンサスが取りあげられた。

実際の診療で近年目立ってきているのが「新型的抑うつ状態」。

もちろんこれは私が勝手に命名した病態であって「新型うつ病」同様全く学術的な用語ではない。

どのような特徴かというと、

1)SDSなどのうつ状態の自己評価尺度で重症度を測定すると中等度の後半から重度と判定されるが、実際の生活は抑制されているものの評価尺度で評定される重症度よりはできていることが多い。

2)業務そのもののがストレス状態となっているのではなく、上司など対人関係で苦手な対象に対する一種の過剰な恐怖反応が生じているとの印象を受ける。

3)その対人的ストレス要因に対する許容量が著しく低いのではないかと推定できる。

4)ストレス対象と接しないようにする調整ができると嘘のように改善するが、改善は調整が100%近く確定してから生じる。

5)新型うつ病と同様、多罰的で不平が多く自己の行動や心構えに対する内省がほとんど見られない。

6)服薬を順守しないとまでは言えないが、2-3日服薬が中断されてから不調となって来院する傾向がある。

7)その不調の原因が、服薬の中断そのものというよりは自分に不利な状況(けして一般的社会的に理不尽といえるほどのものではない)による悪化であるという印象を受ける。

8)環境調整が得られにくいことが多いためか長期にすっきりした改善が得られないが、傷病手当の終了する直前から急激に前向きになってきて復職するか雇用保険に移行することが多い。

この状態が病気か病気ではないかと問われれば、やはり明確に「病気である」と考えている。

そしてこれらの状態を呈する多くの方は、幼少期から思春期以降にかけての逆境的親子関係を体験してきている。

そのなかで何とか精神的に生き延びてきたようなのである。

傷病手当の支給の終了とともに受診しなくなるケースも多いが、何年か後に再度受診してきた方から聞く限りは、概ね社会適応して就労しているようである。

治療はなにがしかのお役にたてたようである。

再発なく自らの社会的役割を見出して行くことを願おう。

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