メタ認知とスキーマ
メタ認知とスキーマ
メタ認知とは認知に対する認知。
スキーマとの違いは難しいのですが、ともに認知の内容に影響を及ぼすものです。
メタ認知とは、ある認識(=認知)が生じたとき、それをどう運用するかというものと言っていいでしょう。
スキーマとは、ある認識(=認知)が生じるための下地、思想や宗教的信念に近いものともいえるでしょう。
あがり症を例にとれば、
「人前で話す
↓
うまくできるだろうか?
↓
失敗したら人は自分を情けない駄目な奴と思うだろう!」
というのが認知です。
これのさらに上位の信念としてのスキーマは、「人前で話すときは完璧でなければ価値のない人間である」というような信念。
一方、メタ認知の方は、
「緊張は危険だ!
↓
コントロールできない!
↓
緊張はあってはならない!
↓
緊張に敏感で早く察知しないといけない!
↓
緊張について素早く察知し、それについて考えることで対策を見つけることができるので意識し考えなければならない!」
などというような、「情緒や思考が発生した時にそれをどう運用するか」についての信念です。
それ故、緊張を恐れかつ意識し続けるという緊張に対する思考の運用の仕方を決定します。
パソコンでいえばOSに相当する「認知に対する信念」でしょう。
スキーマは自動思考の上位認知、メタ認知は自動思考が生じた後にそれをどう運用するかについての認知です。
分かりにくいのですが、スキーマは認知の「内容スペクトラム」、メタ認知は「認知の運用スペクトラム」と言えるでしょう。
どちらを明確化していっても治療的には有効なもののようです。
しかし、どちらかというと、メタ認知を扱うより、スキーマを扱うほうが難しいように思えます。
スキーマを扱うためには、自動思考をまず同定して、その集合からスキーマを探索する必要があるのですが、この自動思考を自覚同定できない方が多いのです。
一方、メタ認知は比較的単純で知的にも理解しやすいという特徴があるため、特に不安障害の方には分かりやすく、結果として効果が得やすようです。
スキーマを扱うにはそれなりの時間を要しますが、メタ認知の処理は通常の保険診療の範囲内でできる可能性が高く、実用的で行いやすいと思います。
一度、体験し効果が感じられれば、あとは自分だけで不安からの悪影響を受けないようになるでしょう。
目から鱗的考え方ですので、興味のある方はご相談ください。