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パートナーへのイライラ対処法

パートナーへのイライラ対処法

私たちは親しい関係の人との日常場面で、

腹が立ったりイライラしたりすることが、

恐らく多くの人で、

頻繁に生じているのではないでしょうか。

例えば、2人でどこかに出かける場合を考えましょう。

状況として、

①2人で出かけること自体は2人にとって等しく喜びになるものである。

②ともに出かけることを楽しみにしている。

ただ、

③あなた(A)は延期できない別の仕事上の約束があり、2人で出かけるのに使える時間がギリギリ2時間である。

④出かけることの内容は、ちょっとした買い物や散歩であり1時間前後もあればできることである。

このような状況で、

パートナーが準備に手間取って、あなたが使える2時間のうち、1時間半を経過してやっと出かけることができたとします。

さて、あなたに残された時間は30分です。

ここで、あなたの心に、

「もう30分しかない!」

というつぶやきが生じたならどうでしょう?

ちょっとイライラや腹立ちがパートナーに対して生じるかも知れません。

「まだ30分は一緒に過ごせるぞ!」

っていうつぶやきならどうでしょう?

楽しい30分を体験できそうですね。

でも…「もう30分しかない!」であったなら、

一緒に過ごせる30分はどんな体験になるでしょう。

もう30分しかない!

の後に次のようなネガティヴなつぶやきが続くかも知れません。

ーーーーーーーーーーーーーーー
(1)2時間しかないって分かっているのに、どうして早く準備を始めないのか!

(2)ゆったりと楽しめなくなるじゃないか!

(3)あいつは「いつも」こうだ!

(4)あー、早く切り上げないと次の約束に間に合わなくなってしまうぞ!

(5)遅刻したら大変なことになる!

(6)相手は、大切な取引先の人なのに!

(7)約束の時間も守れない奴だって、気分を害して取引も断られるかも知れない!

(8)そうなったら自分はクビになって生活もできなくなるかも知れない!

(9)全部あいつ(パートナー)のせいだ!
ーーーーーーーーーーーーーーー

いかがでしょうか?

とても2人のお出かけを楽しめる心理ではなさそうですね。

一緒に過ごせる30分は、最悪の30分になるかも知れません。

あなたは相当不機嫌になって、

その結果、パートナーも不機嫌になって、

さらなる不機嫌の悪循環が生じることでしょう。

では、こうした怒りやイライラをどうすれば処理できるのでしょう?

答えは、

「有効な方法はありません!」

というものです。

しかし、

ほんの少しだけ和らげる方法はあります。

ここで、パートナーへのイライラ対策の前に、

心の会話(インナートーク)の中で何が生じているかを見てみましょう。

まず、インナートークを再度見てみましょう。

ーーーーーーーーーーーーーーー
(1)2時間しかないって分かっているのに、どうして早く準備を始めないのか!

(2)ゆったりと楽しめなくなるじゃないか!

(3)あいつは「いつも」こうだ!

(4)あー、早く切り上げないと次の約束に間に合わなくなってしまうぞ!

(5)遅刻したら大変なことになる!

(6)相手は、大切な取引先の人なのに!

(7)約束の時間も守れない奴だって、気分を害して取引も断られるかも知れない!

(8)そうなったら自分はクビになって生活もできなくなるかも知れない!

(9)全部あいつ(パートナー)のせいだ!
ーーーーーーーーーーーーーーー

(1)(4)は自然と浮かんでくる自発的な感情や思考の織り混ざった、

自動思考のはじまりの思考です。

嫌だと認識した、その場の状況で自然と湧き出てくるものであり、

けして異常なものではありません。

(6)は単なる事実でしょう。

ところが、(2)(3)(5)(7)(8)(9)はどうでしょうか?

(2)ゆったりと楽しめなくなるじゃないか!

→2時間が30分になってはいるものの、「ゆったり」楽しむも楽しまないも、パートナーではなく、あなた次第では?

→責任の所在をパートナーに転嫁して被害的になっていますね。

(3)あいつは「いつも」こうだ!

→いつもそうであるとは言えないのではないでしょうか?

→一事が万事のように、1つの出来事で全ての行動パターンがいつもそのようになされると一般化しすぎているのでは?

→例えいつもそうであったとしても、今、生じている事態から「過去の状況にまで思考の範囲を広げ」て、「怒りの材料探し」をしてしまっているのでは?

(5)遅刻したら大変なことになる!

→遅刻するしないは、あなたの行動次第!

→遅刻しないようにするのはあなたの責任であり、パートナーの責任はほとんどないと言っていいのでは?

(7)約束の時間も守れない奴だって、気分を害して取引も断られるかも知れない!

→生じていないことを、あたかも生じたことであるという前提で思考が展開されていますねぇ。

→そもそも約束の時間を守る守らないはあなたの領域の問題ですのに…

(8)そうなったら自分はクビになって生活もできなくなるかも知れない!

→これも、まだ生じていないことを生じるものだとして、

→しかも、最悪の結果を妄想して脅威に感じているという、不合理でオーバーな見方をしていると言えないでしょうか?

(9)全部あいつ(パートナー)のせいだ!

→前記のような責任転嫁による被害妄想のような思考が、

→パートナーの行動を全否定してしまうという心的結果が生じてしまっていると言えるのではないでしょうか。

十分な直接言語によるコミュニケーションを行わないと、

上記のような被害妄想的思考が生じてしまうのです。

そこで、対策ですが、

パートナーの態度や言動にイライラし腹が立ったとき、

完璧な対処法はないものの、怒りを和らげるには、

まずは何より、

自分が腹を立てていたりイライラしているということ、

つまり自分が怒りを感じているということに「気づく」ことが何より大切です。

そんなの言われなくても、自分が腹を立てていることくらい分かっているよ!と反論されそうですが、

実は、なんとなく分かっているだけでは不十分なのです。

パートナーに対して、「怒り」を「今」「自分」が「感じている」ということを、

明確に客観的に認識する必要があるのです。

なんとなく感じているだけでは、

怒りの感情に思考が巻き込まれ、

思考が感情に支配され、

怒りの感情を肯定し正当化するような材料探しを始めてしまうのです。

怒りの材料探しがはじまれば、

パートナーに限ったことではありませんが、誰も聖人君子ではありませんから、

嫌な材料はいくらでも出てきます。

そしてその嫌なところを思い出して、

その嫌なことが今生じているものではないにもかかわらず、

今まさに生じているがことく、

その嫌なことに対して新たな腹立ちが生じてきます。

この反応は女性に多いようなのですが、男性にも生じます。

そして益々、腹が立ってくることが繰り返されます。

パートナーに対して、「怒り」を「今」「自分」が「感じている」ということに気づけば、

上記の悪循環は自然と軽減されます。

ですから、自分が怒っていると「気づく」ことが必要となるのです。

しかし、気づいても十分には怒りが軽減されないことも多いのです。

そこで次は、

怒りが発生していることに気づいてから、次のように自問自答してみましょう。

自分は、「誰の」「何に」「何故」怒っているのだろうかと。

誰に?

→そりゃパートナーにだろう!

次に、パートナーの何に怒っているの?

→先ほどの例では、大切な時間を一緒に長く過ごしたいのに、テキパキ準備しないパートナーの行動に…ということになるでしょうか。

そして、ここからがポイントです。

では、なぜ怒っているのでしょうか?

→また、上記の例で考えますと、

私の願望は、

ーーーーーーーーーーーーーーー
私は、

パートナーと一緒に、

限られた時間の中で、

できるだけ長い時間を、

楽しく過ごしたい!
ーーーーーーーーーーーーーーー

のでした。

しかし、

パートナーが準備に時間がかかり過ぎて、

「【私】が楽しみにしていた」一緒に過ごせる時間を短くしてしまった!

だから、

私はパートナーに怒りを感じている!

ということになるでしょうか。

生じている事実は、

「パートナーが準備に時間がかかり、一緒に過ごせる時間が短くなった」

ということだけですね。

私の願望である、

私は、

パートナーと一緒に、
→これは満たされています。

限られた時間の中で、
→単なる事実でありパートナーは何も関与していませんね。

できるだけ長い時間を、
→これがパートナーにより犯されました。

楽しく過ごしたい!
→楽しく過ごしたいと願っている「私」が、
→「私が」怒ることで、自分にも相手にも楽しくさせないようにしています!

こうやって、なぜ腹を立てているのかって分析してみると、

パートナーが準備に時間がかかった。

私が怒った。

「私が」、私の「パートナーと一緒に楽しい時間を過ごしたい」という願望を壊した!

という構造になっているのではないでしょうか。

「パートナーが準備に時間がかかった」から2人で楽しく過ごせなくなった、

のではなく、

「私が腹を立てた」から2人で楽しく過ごせなくなった!

これが真実であるような気がしませんか?

こう自分に生じた怒りを客観的に分析すると、

多少、怒りは制御しやすいものに変わってくるものです。

最近の説によれば、

人は説明のつかない事態が生じると、

無理やり自分に都合のよい物語を作り上げてでも、

納得しようという脳機能(本能のようなもの)が作動しはじめるのだそうです。

つまり、怒りの原因探しを、

自分に都合のいいようにしはじめてしまうのです。

つまり、

怒る

都合のいい原因探しをする

普通はいくらでも見つかる

その原因をキッカケにもっと腹が立ってくる

さらに原因探しをする

悪循環!

そして、お定まりの「売り言葉に買い言葉」状態が生じて関係が本当に悪化するということになってしまいかねません。

こうならないためには、

怒りの感情が自分に生じていることにまず気づく!

怒りの正当性の客観的分析を行う!

大抵は、自分に生じた怒りに正当性はないので、

自分の怒りに正当性がないときには、

さらに次のような内的作業が役に立つかもしれません。

①パートナーから自分は、今までどんなことをしてもらってきただろうか?

②翻って自分はパートナーに、今まで何をしてあげたれてきただろうか?

と自らに問うことです。

これらの問いを自問することで、

①何もしてもらっていない!かつ②数えきれないことをしてあげた!

というなら、

これが本当にパートナー側の問題であるばら、パートナーとは決別した方がいいかもしれません。

あるいは、

本当はパートナーがそうでなくて、あなたに感謝という感覚がないのなら、

あなたは、誰とお付き合いしても上手くいかない人であるかもしれません。

前者なら、新しいパートナーを探すのがベター?

後者なら、性格を変える修行に入るか、孤独で不幸な人生を歩む覚悟をしなければならないかもしれません。

ちょっと本筋から逸れてしまいましたが、

パートナーに対してに限らず、怒りの感情の処理は難しいものです。

でも、「気づく→分析する→自問する」という作業を繰り返して行くなら、

少なくとも今までとは違った生活の質を体験できるようになれるかもしれません。

必要であると判断したときには、一般診療の中でもこのような思考分析を行っています。

ご希望の方には、予約料が必要となりますが、一定の十分なお時間をお取りしたセッションも行います。

興味のある方は、院長に直接ご相談下さい^ - ^

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