FrontPage/2024-09-09
Tag: 今日の「へーっ」
発達障害と統合失調症の遺伝子の類似性
岐阜大学の研究で、発達障害であるADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉症スペクトル症)を鑑別する多遺伝子リスクスコア(PRS)が、統合失調症患者の認知機能や脳の構造に類似性のあることが分かったそうです。
結果
以下のようなことが判明したとのこと。
- ADHD高リスクのPRSは、ワーキングメモリーの障害と関連があった。
- ASD高リスクのPRSは、統合失調症患者の特定の脳領域の表面積の減少と関連があった。
- 高PRSは、左右の横側頭葉の皮質厚の減少とも関連していた。
- 左内側眼窩前頭皮質
- 左嗅内皮質
- 左中心後回
- 右紡錘状皮質
- 左紡錘状皮質
この研究は、統合失調症の正常との異質性が他の神経発達障害や精神疾患に関連する遺伝的因子によって部分的に説明できる可能性を示唆しているとのことです。
私見
確かに、統合失調症とASDのうち、知能障害のないアスペルガー症候群と呼ばれていた症例の類似性は以前から気づかれていたところですが、遺伝子的にもその類似性があるということが分かったのですね。
参考
多遺伝子リスクスコア(Polygenic Risk Score, PRS)は、特定の疾患や体質に関連する多数の遺伝子の異なりを考慮して、個人のリスクを評価する方法で、以下のような特徴があります。
- 多数の遺伝子を考慮
- 単一の遺伝子ではなく、数十から数万の遺伝子バリアントを統計的に評価します。
- リスク評価
- 特定の疾患(例:心血管疾患、糖尿病など)や体質(例:身長、体重など)のリスクを予測します。
- 個別化医療
- 個人の遺伝的リスクに基づいて、予防策や治療法をカスタマイズするために使用されます。
このスコアは、ゲノムワイド関連解析(GWAS)と呼ばれる手法を用いて計算され、疾患リスクの予測や個別化医療の発展に寄与しています。
Tweet