FrontPage/2024-10-27
Tag: 今日の「へーっ」
旅行しよう!しないと「うつ病」になる?
旅行は人生を豊かにする素晴らしい経験です。新しい場所や文化に触れることで、自分の視野を広げたり、知識を深めたり、楽しみを見つけたりできますね。しかし、旅行はただ楽しいだけではなく、健康にも良い影響を与えることが最近の研究で明らかになっています。特に、うつ病という深刻な精神的な問題に対して、旅行は有効な予防や治療の手段となる可能性があるのです。
韓国・ソウル大学は、うつ病と旅行の相互関係が調査されました。この研究では、8,524人の参加者を対象に、旅行の頻度や距離と、うつ病の症状やリスクとの関係を分析し、その結果、以下のようなことがわかりました。
1年間旅行しなかった参加者は、旅行した参加者に比べて
- 翌年のうつ病リスクが71%高かった
うつ病の参加者は、非うつ病の参加者に比べて
- 旅行しないリスクが2倍以上高かった
旅行での移動距離は
- うつ病の症状スコアとの間に悪循環が観察された
より頻繁に旅行する参加者は
- うつ病の症状スコアが低くなる傾向があった
- うつ病の症状スコアが高い参加者ほど、旅行する可能性が低かった
これらのことから、旅行はうつ病の発症や悪化を防ぐ効果があると考えられ、逆に、うつ病の人は旅行に消極的になりがちで、そのことがさらに症状を悪化させる可能性がありそうです。では、どうすれば旅行がうつ病に対してポジティブなフィードバックを与えるようになるでしょうか。そのためには、まず、旅行に対するハードルを下げることが重要です。
旅行というと、遠くに行ったり、長期間滞在したり、高額な費用をかけたりするイメージがありますが、それは必ずしも必要なことではありません。近場に日帰りで行くだけでも、旅行の効果は得られます。私たちの周囲には、気軽に訪れることのできる多くの美しい場所が存在しています。そんな小旅行が、心の健康にも良い影響を与えることを忘れてはなりません。
たとえば、近郊の森林公園への日帰りハイキングは、新鮮な空気を吸い込みながら自然の中を歩くことでストレスを解消し、気分をリフレッシュさせることができます。あるいは、隣町の古い街並みを散策するのも、日常からの小さな逃避行となり得るでしょう。異なる景色と歴史に触れることで、心が開放され、生きる活力を再び感じることができます。
また、地元の美術館や博物館を訪れることも、心を刺激し、インスピレーションを与える旅となります。芸術作品をじっくり観賞する時間は、内省の時間ともなり、私たちの想像力や感受性を豊かにしてくれます。美術館の静かな空間は、日常の喧噪を忘れさせ、心を落ち着かせる避難所になることでしょう。
そして、どんな旅行にせよ、旅行から帰ってきた後には、旅の思い出や経験を振り返ることが大切です。旅行は、一時的な楽しみではなく、長期的な幸福感につながるものです。旅行の思い出や経験は、自分の人生における貴重な資産となるでしょう。その資産を大切にすることで、自分の人生に対する満足感や自信を高めることができます。例えば、旅行の写真や日記を見返したり、旅行の話を友人や家族にしたりすることで、旅行の楽しさや意義を再確認することができるはずです。また、旅行で得た知識やスキルを日常生活に活かしたり、旅行で出会った人との関係を維持したりすることで、旅行の影響力を拡大することができるでしょう。旅行は、自分の人生における成長やつながりの源泉となるのです。
以上のように、旅行はうつ病に対して多くのメリットをもたらすことができるだけではなく、人生をより豊かににもしてくれると思います。旅行が、うつ病になりにくいという研究報告を背景に、私たちはもっと気軽に小旅行を楽しむべきです。それは、心に対する優れた投資であり、日常生活の質を高めるためのステップなのです。週末に予定がない時、突然の空き時間ができた時、それは小旅行へと出かける絶好のチャンスかもしれません。道中の景色を眺め、目的地での新たな体験を楽しみ、日常に戻る時には、再び前向きな気持ちでいっぱいになっているはずです。
参考文献
No travel worsens depression: reciprocal relationship between travel and depression among older adults.
Journal
Annals of general psychiatry. 2022 Aug 10;21(1);31. doi: 10.1186/s12991-022-00405-2.
Author
Seungjae Hyun, Yeonjin Lee, Sangshin Park