FrontPage/2025-05-27
Tag: 今日の「へーっ」
うつ病には筋トレがベスト?
2024年2月にBMJ誌に掲載された大規模なシステマティックレビューとネットワークメタ解析(Noetelら, 2024)は、うつ病治療における運動の有効性を明確に示しました。この研究は、218件の無作為化比較試験、合計14,170人の参加者を対象に、心理療法や抗うつ薬、通常ケアと比較して、さまざまな運動療法の効果を検証しています。その結果、筋トレが最も有効で実践的であると思われたのでコメントしてみました。興味のある方はご一読ください。
ヨガは専門家の指導が必要
この論文によれば、ウォーキングやジョギング、ヨガ、筋力トレーニング、混合有酸素運動、太極拳や気功など、いずれも中等度のうつ症状軽減効果が認められました。特に注目すべきは、運動の強度が高いほど効果が大きく、筋トレとヨガは「最も受容性が高い」運動であった点です。つまり、継続しやすく、離脱率が低いという特徴があります([BMJ, 2024](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38355154/))。
BMJ誌の論文でも、ヨガは他の運動と比べてドロップアウト率(離脱率)が低く、長期的なうつ病管理に適しているとされています([BMJ Rapid Response, 2024](https://www.bmj.com/content/384/bmj-2023-075847/rr-3))。また、ヨガは薬物療法の補助としても有効であり、特に軽症から中等症のうつ病患者に推奨されるものの、「専門家の指導のもとで行うことで最大の効果が得られる」との指摘も多く、自己流で無理をすると逆効果になることもあります。
一方、筋トレは特に若年層や女性において高い効果が示されており、脳内の幸福ホルモン分泌や自己効力感の向上を通じて、うつ病の根本的な改善に寄与します。筋トレは運動強度が高く、短期間でも効果が現れやすいことから、うつ病治療の中心的な選択肢となりつつあります([Journal Check, 2024](https://hpcr.jp/topic/plus/ae5a2218dca80a367))。
さらに、BMJ論文では「運動は、併存疾患の有無やうつ病の重症度を問わず、有効性は同等」とされており、どのような患者にも運動療法が有効であることが示唆されています。ただし、研究の多くはバイアスリスクが高く、今後はより厳密な研究が求められています。
まとめ
ヨガは専門家の指導のもとで安全に行うことで最大の効果を発揮し、筋トレはうつ病の改善において最も効果的な運動の一つです。理想的にはヨガだけでなく筋トレも自己流ではなく、専門家のサポートを受けながら継続することが、うつ病克服への近道だと言えるでしょう。
参考文献
- Noetel M, Sanders T, Gallardo-Gómez D, et al. Effect of exercise for depression: systematic review and network meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ. 2024;384:e075847. [PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38355154/)
- Enhancing Depression Management: The Role of Yoga as an Adjunctive Therapy, Not a Replacement for Pharmacotherapy. [BMJ Rapid Response](https://www.bmj.com/content/384/bmj-2023-075847/rr-3)
- 筋トレ vs ウォーキング vs ヨガ vs SSRI 他4本≫ Journal Check Vol.87(2024年2月22日号) [HPCR](https://hpcr.jp/topic/plus/ae5a2218dca80a367)
- 運動でメンタルヘルスを改善 すべての運動にうつ病を軽減する効果が [DM-net](https://dm-net.co.jp/calendar/2024/038146.php)