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FrontPage/2025-12-29

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Tag: 今日の「へーっ」

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治療抵抗性うつ病に1番のお薬は何か?

抗うつ薬だけではなかなか良くならない治療抵抗性うつ病。内服薬での対応に非定型性抗精神病薬による補強が有効なことが分かっています。では、最も推奨できる非定型抗精神病薬は何なのでしょうか?その答えを示唆する論文があったので紹介します。

1万人超のデータを用い たBaiらによる2025年のネットワーク・メタ回帰分析は、非定型抗精神病薬を上乗せしたとき、改善は確かに起きるが、その「改善の仕方」と「代償」は薬剤ごとに異なっていることが分かりました。

有効率

いわゆる反応率に注目すると、ブレクスピプラゾール(特に3mg/日)と低用量リスペリドンは、症状が「はっきり改善した」患者の割合が相対的に高かった。これらの薬剤は、短期間での改善を実感しやすい薬剤と言えるでしょう。一方で、鎮静や体重増加、錐体外路症状といった副作用が一定割合で報告されており、「効くが、気になる点も残る」という評価になるようです。

クエチアピンXRやオランザピンを含む治療は、4週間前後で効果が立ち上がる「速さ」が特徴でした。しかし同時に、眠気や体重増加、代謝系副作用の発生率が比較的高く、フォローアップ期間を考慮すると有効性の安定感はやや揺らぎます。短距離走には強いが、長距離では息切れしやすいということですね。

カリプラジン(日本未発売)は、3週間前後で効果が現れる例がある一方、用量によっては効果発現まで時間がかかることも示された。アカシジアなどの運動性副作用が一定数みられ、効果と副作用の見極めに慎重さが求められる薬剤でした。

一方で、アリピプラゾールはやや異なる立ち位置でした。反応率や寛解率は「最も高い」わけではないものの、うつ症状の改善、重症度の低下、寛解到達といった複数の評価項目で、安定して抗うつ薬単独を上回り、しかも、その効果はフォローアップ期間を調整しても大きく崩れませんでした。

また、副作用の面でも、アリピプラゾールは比較的穏やかで、アカシジアなど注意すべき点はあるものの、強い鎮静や顕著な体重増加は他の非定型抗精神病薬より少ない傾向が示されました。結果として、治療中断に至る割合が低く、「効き目と続けやすさ」のバランスが取れていたようです。

この研究の結論は、単なるランキングではありませんが、効果の再現性、時間的安定性、副作用の発生率まで含めて総合的に見ると、アリピプラゾールは治療抵抗性うつ病における上乗せ療法として、相対的に最も扱いやすく、信頼できる選択肢として浮かび上がりました。

治療は一発勝負ではない。続けられること、折り合いをつけられること、その積み重ねが回復につながります。アリピプラゾールの強みは、まさにその「長く寄り添える効き方」にあるということですね。

参考

論文「治療抵抗性うつ病(TRD)における抗うつ薬への第2世代抗精神病薬(SGA)の上乗せ効果:ネットワーク・メタ回帰分析」(The augmentative efficacy of second-generation anti-psychotics (SGA) to anti-depressants in treating treatment-resistant depression: a network meta-regression analysis.Binru Bai et al. BMC Psychiatry. 2025.)

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