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Tag: 運動 うつ 睡眠 セルフケア メンタルヘルス

ゲームで「うつの手前」を防げる?──『リングフィット』研究が教えてくれること

「気分が落ち込むときは、体を動かすといいですよ」——診察室でもよく耳にする言葉ではないでしょうか。運動に抑うつ症状をやわらげる効果があることは、多くの研究で確かめられています。ところが、ここに大きな壁があります。続かない、のです。気分が沈んでいるときほど「今日はいいや」となってしまう。では、運動そのものが「楽しい遊び」になったら、どうでしょうか。

「うつ病の手前」を対象にした研究

今回ご紹介するのは、Nintendo Switchの『リングフィット アドベンチャー』を使った運動介入の効果を調べた研究です(注1)。
対象になったのは、閾値下うつ(うつ病と診断されるほどではないけれど、気分の落ち込みが続いている手前の状態)の若年成人84名。この「手前の段階」は放っておくと本格的なうつ病へ進みやすいため、まさに予防のうえで大切な入口です。
参加者を2グループに分け、片方は8週間、週2〜3回・1回50〜60分、リングフィットで体を動かしてもらいました。もう片方はいつもどおりの生活です。

楽しく動かした人たちに起きた変化

結果は、なかなか印象的でした。

  • 抑うつ症状(PHQ-9):終了直後だけでなく、2か月後まで改善が続いていました。
  • 睡眠の質(PSQI):すべての測定時点で、しっかり良くなっていました。
  • 不安症状(GAD-7):改善傾向はあったものの、抑うつや睡眠ほど一貫はしませんでした。
    見逃せないのは、効果が「やっている間だけ」で終わらず、2か月後まで残っていたという点です。参加者へのインタビューでも「ゲームに没頭できた」「続けやすかった」という声が多く、続けられたからこそ効果が積み上がった、と読めるのではないでしょうか。

私たちが持ち帰れること

「楽しく動く」がめぐる好循環図
この研究のポイントは、「特別な運動」ではなく楽しく体を動かすことに効果があった、という点にあると思います。
考えてみれば、リングフィットには続けやすさの工夫が詰まっています。家の中で、天気や人目を気にせずできる。ゲームなので次を進めたくなる。達成感が見える。——気分が落ち込んでいるときほど下がりがちな「やる気のハードル」を、うまく下げてくれているのです。
もちろん、これは「手前の段階」の若い世代を対象にした研究であり、すでに治療が必要なうつ病の方に運動だけで、という話ではありません。それでも、日々のメンタルを健やかに保つセルフケアとして、自分が楽しいと思える形で体を動かすという視点は、多くの人に開かれた選択肢なのではないでしょうか。
ゲームでも、散歩でも、ダンスでも構いません。「続けられる楽しさ」こそが、心の健康を支える近道なのかもしれませんね。


(注1)Huang K, et al. Nintendo Switch-Based Exergaming for Subthreshold Depression: Mixed Methods Randomized Controlled Trial. JMIR Serious Games. 2026;14:e80937. DOI: https://doi.org/10.2196/80937(出典:PubMed)


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