抑圧と記憶の抑制
抑圧と記憶の抑制
似て非なるものか、同一線上のものか?医学NEWSの再考です。
脳の前頭前野が不快な記憶を抑制する?
米科学誌「サイエンス(Science)」に掲載されました研究です。
被験者に、自然な表情の顔写真と不安を引き起こすような写真をセットで見せて、自然な表情の顔写真を見せたとき、不安を引き起こすような写真を思い出すよう努力させるか、逆に思い起こさないようにさせて、MRIで脳の機能を調べるというものでした。
不快な記憶の抑制には、前頭前野が関与していることが分かったとのことです。
さらに、この実験から被験者は、不快な記憶を意識により(=前頭前野の機能により)抑制することができることも判明したようです。
この研究から、正常者の不快記憶抑制メカニズムを解明し、PTSD・恐怖性不安障害・強迫性障害などの患者の脳内でなぜ抑制が働かないのかを明らかにできれば、症状の改善に役立つであろうと研究者は期待を寄せいているというのです。
不快な記憶の抑制とは、精神分析の世界で抑圧というものに相当するものでしょうか?
この実験の不快な記憶の抑制モデルと、精神分析でいう無意識過程で生じる抑圧の概念モデルとは、ずいぶんと異なるような気がします。
自らの意図による思い出さないようにする意志の努力と、抑圧という無意識の心理メカニズムが、同じ脳内メカニズムで生じるのかは今後の研究を待たないといけないでしょう。
続報を期待して待つことにします。