教訓となる話題を1つ
教訓となる話題を1つ
トラウマや衝動性、頑固な不眠などにもよく使われるリスぺりドン(商品名リスパダール)は効果なし?
文献:JAMA. 2011;306(5):493-502
セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が効かない慢性の心的外傷後ストレス障害(PTSD)になっている退役軍人296人に、非定型抗精神病薬リスペリドンを使って効果を確かめてみた研究です。
無作為化二重盲検プラセボ(偽薬)対照試験という厳密な調査研究デザインで検証しました。
結果は、プラセボとの比較で、リスペリドンはPTSDの症状に統計学的に有意な改善効果は認められなかったとうのです。
また、効果が確認できないばかりではなく、疲労感などの副作用はプラセボに比べ多かったという結果でした。
リスペリドンは本当に副作用が多いだけで効果がない(?)のでしょうか。
わたし個人の臨床経験からすると、リスペリドンはトラウマからの影響で症状がなかなか治らない人に効果があるような印象があります。
リスペリドンから話は外れますが、商品名ダーゼンというノドの痛みに効果がある、と多くの医師が実感して使用してきたお薬があります。
発売されて長い年月が経過し、多くの医師が処方してきたダーゼンですが、発売後の見直し調査で効果が認められないとされ、市場から姿を消しました。
臨床感覚と厳密な調査にこんなにも差があるのは驚きです。
わたしたちも、臨床感覚だけに頼らず、常に最新の研究調査を精査して、事実に基づいた医療を実践していくことを心がけねばなりません。