幼少期のトラウマは慢性疲労症候群の原因?
幼少期のトラウマは慢性疲労症候群の原因?
Tag: トラウマ 慢性疲労症候群 うつ病
米エモリー大学医学部からの報告です。
情報源:Archives of General Psychiatry
幼少期の性的虐待などトラウマとなるような経験は、成人になってから慢性疲労症候群になるリスクを6倍高くするという報告です。
米国の慢性疲労症候群患者は、成人の約2.5%に達するということです。
40人に1人です。
その原因についてはウイルス説などいろいろありましたが、明確な原因が特定されている訳ではありません。
報告によれば、トラウマの認められた全ての人が慢性疲労症候群になるわけではなく、トラウマが発症のしやすさの要因になるというのです。
研究チームは、慢性疲労症候群患者113人と健常者124人を対象に、
①幼少期の性的・肉体的・精神的な虐待などのトラウマの有無
②うつ病や不安障害症、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の発症の有無
③液中のコルチゾール(ストレスホルモン)の量
を調べました。
コルチゾールが少ないことは、身体的に、ストレス対処機能が低下しているということを示します。
研究結果は、
①性的虐待、精神的虐待、感情的ネグレクト(無視)を幼少期に受けると、慢性疲労症候群になるリスクを6倍高める。
②慢性疲労症候群患者は健常者に比べて、うつ病や不安障害、PTSDの発症が多い。
②コルチゾールの量は、幼少期にトラウマ体験をした慢性疲労症候群患者では少なく、トラウマを体験していない慢性疲労症候群患者では正常だった、すなわち、トラウマを体験すると慢性疲労症候群患者では、ストレスに体が正常に対応しない可能性があるということが示唆されました。
これらの結果より、幼少期のトラウマ体験が、慢性疲労症候群の重要な危険因子であるとしています。
幼少期のトラウマ→「大人になってから慢性疲労症候群になるリスクを高める」+「慢性疲労症候群のなかでもストレスに生物学的対処機能が低下する」→???????→「うつ病や不安障害、PTSDになるリスクが高まる」というよな論理になるのでしょうか。
最後の部分は私の推論です。
いずれにしろ、幼少期の生育体験は、その後の心理的発展に大きな影響を及ぼすことになるのでしょう。
「生まれ持っての生物学的素因(≒遺伝素因)×生後の養育および生活体験=心理的状態」というような方程式が成り立つのでは内科というのが、私の見解です。
皆様はどうお考えになるでしょうか。