海馬の神経細胞新生はストレスとウツを和らげる?
海馬の神経細胞新生はストレスとウツを和らげる?
Tag: 脳科学 うつ ストレス 海馬
出典:Nature Volume:476,Pages:458–461(25 August 2011) Adult hippocampal neurogenesis buffers stress responses and depressive behaviour. Jason S. Snyderら
海馬にはストレスホルモン受容体が密に分布しており、海馬での神経細胞が新しく作られないと、不安やうつ関連の病気の発症に関係があるとの考えがありました。
しかし、それを証明するような直接的研究はありませんでした。
Snyderらの研究者は、マウスの海馬神経細胞新生を阻害すると、内分泌や行動上のストレス応答に障害が生じて、人間でいえばうつ病に相当する行動が増えることを観察しました。
これは、海馬で新しく作られた神経細胞が、ストレスに対する生体の反応調節に関与していることを直接的に示すものであるとしています。
前に、抗うつ薬が脳由来神経栄養因子BDNFを増やす作用があり、BDNFによりが海馬の神経を修復(新生)することで抗うつ薬が効果を発揮する、すなわちウツが治るということを述べましたが、それをさらに裏付ける研究結果といえるでしょう。
もっと効率的にウツを根治できるお薬の開発が期待されます。