マイクロRNAって?
マイクロRNAって?
Tag: 遺伝子 海馬 網膜 マイクロRNA
神経の再生医療につながる研究とのことです。
大阪バイオサイエンス研究所の古川貴久:発生生物学部門研究部長と佐貫理佳子:研究員らの研究報告で、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の一環として行われました。
いままでその役割がよく分かっていなかった脳神経細胞の「マイクロRNA(miRNA;micro-RNA)」というものが、海馬(記憶や抗うつ薬の効果発現に関与する脳の一部)の神経回路や網膜の神経細胞形成に関係しているという研究結果が報告されました。
マイクロRNA(miRNA;micro-RNA)は18~25塩基でできている小さな1本鎖RNAで、蛋白の生成へと翻訳されない、他の遺伝子の発現を調節するノンコーディングRNA(ncRNA)の一種とされています。
このmiRNAの機能は、遺伝子発現の抑制にあると考えられています。
すなわち、miRNA は一部のメッセンジャーRNA(mRNA)との結合して、mRNAの翻訳を阻害したり、mRNAの分解を引き起こしたりする場合があるらしいのです。
研究者が、脳の神経細胞に多く存在する「miR-124a」というmiRNAを生まれつき機能しないマウスを作ったところ、そのマウスは、脳全体が小さく、脳の発達障害も起こしていたというのです。
さらに、記憶の中枢である海馬の神経細胞が通常とは異なる細胞と結びつき神経回路が異常になっており、網膜で視力と色覚を司る錐体視細胞が死滅していることも観察されました。
このような異常現象は、脳の発達に従いmiR-124aによって機能が阻害されるLhx2という遺伝子が、miR-124aがないために機能し続けて引き起こされたとしてます。
まだまだ、現場の医療で利用できるような研究ではありませんが、生物学的な原因が解明され、てんかんや自閉症の根治的医療手段が開発されるかもしれません。
出生前に自閉症の診断がなされ、治療することで健常児として生まれてくるという夢のような時代が来るかもしれません。