共感障害
共感障害
Tag: 自己愛人格障害
これが社会生活に障害が出る状態の典型例が…
共感障害の典型例は、非社会性人格障害と自己愛人格障害といえるでしょう。
社会的に望ましくない行動パターンが、誰の目にも明らかですので、非社会性人格障害の診断は比較的容易であるといえます。
しかし、自己愛人格障害は、臨床的に診断するのが難しい。
病理性が深く重い場合は、比較的容易に診断できますが、中等度以下のときは、「うつ」の仮面を被っていることが多いのです。
うつ病もしくはうつ状態として治療していても、お薬の効果が現れず、治療が遷延化しがちになります。
近年、はやりの新型うつ病とも病態が異なります。
新型うつ病の方々が、分かってもらえないと思うと、症状が悪化するという自己表現型を取るのとは対照的に、自己愛人格障害の方は、心理的解釈を嫌い、分かってもらえないとの思いから攻撃的になる傾向があります。
自分が共感されていないということには敏感で傷つきやすい一方で、他者への共感に鈍感であるという特徴です。
しかし、この共感不全の病態は、悲しき尊大さゆえに、確かにウツになりやすいといえるのです。
自覚的な認識も漠然としたレベルではあることが多く、ご本人たちは著しく生き難く、孤独感や空虚感に絶えず苛まれています。
あたかも生き地獄と表現できるような心理状態に苦しんでおられます。
治療は、実際に非常に難しい…
これらの方々は、治療に自らくることはまれで、多くは家族に連れられて受診されます。
しかし、自己愛障害ゆえに、治療者と競争し、多くの場合に攻撃的となって治療が続けられないことが多いのです。
もちろん、治療者側の資質の問題もありますが、一番の障害は、日本の保険診療では診療時間を十分取れないということに尽きると思われます。
十分な時間とは、実時間で50分~60分!
保険診療では、とても診きれない診療時間です。
色々な意味で無力感を感じます…
保険診療で、必要な方々に十分な診療を確保できる時代が来ることを願うばかりです。