死生学
死生学
「死生学1死生学とは何か」島薗進・竹内整一編を読んで。
死生学とは、英語ではDeath Studies(Thanatology)即ち「死」学である。
死というもの、あるいは死にまつわる心理や生き方・迎え方をどう考え受け止めるのか、難しいものである。
死とは、「単に自分の喪失ではなく、自分と一体になっていた世界から自分だけが切り離されていくことの孤独」という恐怖ゆえの畏怖であるという。
この恐怖を受け入れる困難さは、ターミナルケアの聖女キューブラー・ロスの死にざまにも見てとることができる。
すなわち「晩年のロスは 、 1人、アリゾナの砂漠に住み、ファンから届く手紙も気分が悪くなるだけだと語り、精神分析治療は役に立たず、神様はヒトラーで、自分の成功など無意味だと苦悩した。自分自身を愛するようになれたとき、はじめて死ねるのだとわかっている。でも、それができないのです。それが嫌でたまらない。」と…
半身不随で、なり振り構わぬもがくような最後の9年を生き、2004年、78才でこの世を去った。
家族に遺した最後の言葉は、
「これから銀河とダンスに行くわ」
…
死とは、自らの「生」をナラティヴ、物語の締めくくりとして自らの心で統御完結しなければならない「なにか」と言えようか?
「有」でも「無」でもない時間と空間を超越した「なにか」が死からはじまるのかも知れない。