妄想性パーツナリティー障害
妄想性パーツナリティー障害
傷病手当の切れ目が縁の切れ目であるかのように、手当の終了期限が近づく1~2ヶ月前から徐々によくなり始め、最終の手続書類を受け取った後、全く来院しなくなるケースを時に経験する。
このようなケースでは、来院しなくなる最終受診日に「もう良くなったので不調になったらまた来ます」などと治療に来なくなることを表明するケースは殆どなく、気がつくと来院していないなあ、元気にしているんだろうか?というようにふと気づく終わり方をする。
一方、妄想性パーツナリティー障害のケースが傷病手当をもらう書類を書いてもらうことが生じたとき、その終り方は少々特異である。
受診時の状態は、大抵が「うつ」状態。
ストレスの内容は、社内でみんながぐるになって自分の悪口を言ったり陥れようとするというもの。
ほとんどこのようなケースは色々な理由付けをして服薬を拒否する。
診察では、周囲の悪意ある行動を延々と述べる。
しかし、療養上のアドバイスを嫌い、医療的助言に対しては「先生は間違つてます」「私には当てはまりません」的に拒否する。
「うつ」状態は中等度以上あり、確かに休業を要する病状にある。
しかし、服薬はしないうえ療養上の助言も全く受け入れないため症状は改善しない。
面接でも一方的に他者からの悪意と仕打ち・裏切り・企みについて延々と訴えかけ、治療者に介入の機会を与えない。
無力感を感じてしまう。
傷病手当金が期限一杯となると、今までとは一変して人が企みを巡らせて陥れようとするのはさせておくしかないので…等々、気持ちを切り替えて進んでいきます的に前向きになってくる。
そしてここからが得意なのだが、先生もぐるになって自分の情報を会社に流している!私のここのでの治療はなんだったのか?ここに来ても何の意味もないと。
また、同じ経過を繰り返さない心配でならない、と同時に妄想的構えに対する無力さを痛感する。
医療従事者としての良心を以って幸運を祈ることしかできないのであろうか…