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感謝と貢献

感謝と貢献

生きる意味が分からない、自分の存在する価値が分からない…

うつ病の治療において、患者さんからよく聞く言葉です。

生きる意味や自分の存在価値が分からないと嘆く人達の多くで、

欠落している視点があるように思えます。

それは「感謝」と「貢献」という価値ベクトルです。

悩んでいる人々の多くは、selfishであるというか、

そんなことを考える余裕がないというのが正確でしょうか。

人が何もしてくれないという「貰う論理」での視点に思考が占領されているのです。

十分な休息や環境調整、薬物療法などによって3-6ヶ月以内に改善する場合は、特段難しく考える必要はないでしょう。

もう少し私の経験から踏み込んで言うなら、治療をはじめて6週間以内に「ずいぶん楽になった」と感じることができる患者さんは特別の対処をこうじる必要はないでしょう。

しかし、改善を6週間以内に実感できない患者さんは要注意です。

このような患者さんは、生活リズムや運動習慣などを含む行動の活性化方略を実践する必要があります。

それでも症状が6ヶ月以上改善しない患者さんは、「感謝」と「貢献」という価値ベクトルでの「生き方の見直し」が必要になります。

「何もいいことがない」「どうして自分だけこんな目にあうんだろう」「苦しいだけの人生だ」「誰も何もしてくれない」etc.etc.

このような考えで頭が占領されてしまいます。

このような状態ではいくら環境を調整しても行動の活性化を行っても症状は改善しません。

人間は考えた通りの世界を現実と勘違いして、そのネガティブな世界に没入する特性があるのです。

思考の世界での惨めで何もよいことがない幻想世界を、あたかも現実に生じているかのように認識してしまうのです。

実際には生じていないよくない状況状態が生じていると認識してしまうのですから、自分で自分を傷つけている状態になってしまいます。

このような状態から抜け出す方法に、治療の世界では認知療法やメタ認知療法という方法がありますが、

これらとは別の誰にでも難しい知識や煩雑な施行過程を経ずに行える1つの方法に、感謝と貢献の感覚を意識することがあります。

人の生きる意味は自分以外の他者や世界に貢献することです。

なにも世界平和のために貢献するというのではありません。

貢献の別の要素は感謝といえるのではないでしょうか。

たとえ引きこもっている状態で他者や世界との接触を断っている状態にあっても、身近な家族やSNSで接触のある人たちに感謝することはできます。

まったく他者と接触していない状態にあったとしても、酸素を吸えることに感謝することはできるでしょう。

こんなことが何の役にたつのかと疑問に思えるのは当然でしょう。

しかし、騙されたと思って実行してみてください。

まずは身近な人に「ありがとう」と言うところからはじめてみましょう。

はじめは気が進まずありがとうという気持ちが湧いてこないかもしれません。

でも続けてください。

1週間2週間1ヶ月と続けていくうちに、何か今までと違った世界観が見えてくるかもしれません。

Let's try!

注:生きる意味をじっくり考えたいときは、ヴィクトール・E.・フランクルの著作集を読んでみるのもいいかも知れません。

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