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病的窃盗に実刑は無効か?

病的窃盗に実刑は無効か?

注)当院でクレプトマニアの治療をしていると誤解される方がいらっしゃり、お問い合わせがときにありますが、当院ではクレプトマニアの治療は行っておりませんこと、ご理解のほどお願いいたします。2016年11月22日追記

注)当院はクレプトマニアの治療能力がないことをご了承ください。

注)平成26年7月8日、大阪高等裁判所で「被告がクレプトマニアに罹患していたとしても、『犯情』にはさほど影響しない」との判決が出ました。精神科で診断書をもらって罪を免れることは難しいと思われます。当院では、「クレプトマニアであるが善悪の判断能力に問題はない」との診断書しか書きませんのでご注意ください。

病的窃盗(クレプトマニア)という病気があります。

お金に困っている訳でもないのに万引きを繰り返す人達のことをいうですが、病的でない常習窃盗者とは違うということです。

病的窃盗に刑事罰(服役など)は効果がなく、弁済と精神医学的治療が有効と言いわれています。

日本には病的窃盗の専門的医療機関が殆どないということが大きな問題となるのですが、ネット検索すると、病的窃盗を弁護する弁護士事務所のサイトは結構な数あるようです。

また、日本で病的窃盗を専門とする医師によるシンポジウムで、その基本的立ち位置は「窃盗癖は心神耗弱とはならなくとも、病的精神状態を背景とした犯行であり、また、刑罰による再犯予防効果が少なく、治療効果が期待されるので情状酌量すべきである」であるとの報告を聞ききました。

更に、1つの弁護士事務所のホームページによれば、病的窃盗で責任能力がないとされるわけではないが、摂食障害の症状として生じる解離状態での万引きや、素人の医師による多剤併用処方例で薬物による意識の変容状態を来たしていた場合には、責任能力の低下(心神耗弱)があると判断されることがあるとのことでした。

専門家の医学的見解と弁護により、執行猶予中の再犯であっても、第二の犯罪に対して通常受ける実刑判決でなく執行猶予となる判例が見受けられるようになってきたようです。

小生は病的窃盗の専門家ではありませんが、通院中の方が万引きしたとして警察から問い合わせを受けることを時に経験します。

守秘義務を超越する法的に正当な問い合わせがあった場合に限って回答するのですが、小生なりの判断基準をもってお答えするようにしています。

①窃盗行為を犯す以前の社会的適応状態が良好であること
②前後の態度言動から、反省の弁が心からにじみ出ているような印象がつよいこと
③すでに弁済しているか弁済の実行が確実であること
④経済的に万引きする必要のない経済力を有していること
⑤窃盗以外での犯罪的傾向がないこと
⑥意図的大量服薬がないこと
⑦明確な解離状態であったと推定できること

以上のような場合には、病気の影響が犯行に寄与しているとお答えしています。

卑近な疾患であるうつ病やストレス関連障害などでも万引きする患者さんはいるにはいるのですが、大抵は2回繰り返すことはありません。

通常、初犯の場合は店舗や警察での説諭や起訴された場合でも執行猶予となることが多く、再犯もないためそれ以上の問題は生じないことが多いようです。

しかし、再犯を繰り返す病的窃盗の場合はどうでしょうか?

何度も再犯を繰り返し、しかも医療機関からの診断書などで実刑を免れたケースは、当院を受診されれたケースに限れば、とんでもない非常識な思考パターンをもっているケースが殆どでした。

その思考パターンとは?

自分の意思とは別に万引きしたい衝動に駆られて自制できないので、万引きするたびに診断書を書いて店舗や警察に提出して助けてももらってきた。ここでも万引きするたびに診断書を書いて助けて欲しい。

何をかいわんや、では?

病的窃盗を専門的に治療できる医療機関はいいでしょう。

しかし、殆どすべてと言っていいほど日本の医療機関で病的窃盗を適切に治療できるところはありません。

「万引き→病気のせいという診断書→実刑を免れる→専門的治療を行う→治る(専門家がいうには治癒率は高いそうですが…)→再犯がなくなる」=これが理想的です。

しかし、実際は、

「万引き→病気のせいという診断書→実刑を免れる→専門的治療を行える医療機関がない→治らない→再犯を繰り返す」=これが現状です。

刑事的処分は病的窃盗に効果は殆どないという専門家の意見ですが、実際には治療できるとこころはないのですから、

「万引き→病気であっても責任能力はある→刑事的処分→専門家ではない医療機関でも治療を行おう努力をしようという意思の形成→少しでも再犯を予防する」という方向が現実的ではないでしょうか。

窃盗が病気のせいで責任能力が犯されての犯行であるという場合は、(1)解離状態での犯行(2)大量の薬物服薬による意識障害時の犯行、この2つの場合以外での心神耗弱はありえないと考えます。

意識の変容状態でないけれど、万引きしたいという衝動を抑えられず万引きしたという場合に、病気で衝動を抑えられないからといって刑事罰を免れる理由にはならないと思っています。

専門家に言わせれば、それは勉強不足ですよ!と言われるかもしれませんが、何度も再犯を繰り返すなら、刑事罰を科すほうが本人のためになると思いうのですが…

行動の修正に、褒美に比べて罰の効果は少ないといいますが、行動して何も生じないなら行動の修正は不可能でしょう。

何も生じないより罰が生じる方が、少なくとも行動の修正が生じる可能性は高まると信じています。

さて、ご意見はいかがでしょうか?

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