成果よりプロセス
成果よりプロセス
達成を味わうよりプロセスを楽しむ!
ビジネスコーチ界の巨匠、アンソニー・ロビンズによれば、人生の目的とは「質の高い感情を得ること」だそうです。
これは行動活性化療法やACTでいうところの"価値"あるいは価値の方向性に沿って生きるということそのものではないでしょうか?
ある目標を志向し、それを達成することのみに心を奪われてしまえば、
その道程の瞬間瞬間を楽しみ味わうことができなくなってしまいます。
ACTなどで言われる価値とは、到達目標ではなく向かうべき方向性であり、終わりのないものです。
勿論、価値の方向性に沿うプロセスの中で、指標としての目標を持つことは良いことでしょう。
しかし、その目標の達成に絶対的価値を置いてしまうと、
その目標が達成困難であれば、絶望が待ち受けていますし、
その目標の達成が容易過ぎれば充足感を得られないでしょう。
しかし、その目標に向かうプロセスでの行動を、自分が価値を置く方向性で行っているのであれば、
それが達成困難でであろうと容易であろうと、
その価値の方向性で行動している瞬間瞬間が喜びであり充足したものとなるのではないでしょうか?
そのプロセスは、時に苦痛苦悩を伴うかもしれません。
しかし、苦痛であっても、自らの志向する価値の方向性に沿って行動してさえいると自分が知っていることで、
その苦痛苦悩に意味を見出せるのではないかと思います。
例えば、
サッカー好きの少年が、ロナウドのようなファンタジスタになって、
自分も豊かになるけれど、他のみんなにも感動をもたらし、
自分と同じようにサッカーを好きになってもらって、
そこからハッピーになって貰うという、
という思いを抱いたとしましょう。
ここでロナウドのようなファンタジスタになるというのは、ある種の目標です。
これは、ロナウドのようになってしまえば達成されて完了されてしまうものであり、
また現実的には、達成困難と言える目標です。
しかし、それを目指すことは、
自分と同じようにサッカーを好きになってもらって、そこからハッピーになって貰うという価値の方向性に沿うものであり、
達成困難であるかららと言って絶望することもないでしょうし、
その目標に向かうプロセスでの身体的精神的苦痛苦悩にも耐えられるでしょう。
そして、ロナウドのようになれなくても、
サッカー好き少年を産み出し、
多くの人に何がしかの感動を与え、
関与する人々にハッピーになってもらえる可能性は大いにあるのではないでしょうか。
何より、人々にハッピーになってもらえる行動に終わりはありません。
そのプロセスそのものが己が人生であり喜びであり、
その瞬間瞬間を活き活きと生きることになるのだと私は信じています。
達成よりプロセス…よしとするか否か、それも各人それぞれの自由でしょう。
しかし、この価値の方向性に沿うということに強い意味付けできるならば、
長年改善しない慢性の無気力に対抗できる行動活性化を行うことができてくるはずだと、
わたしはそう思いながら日々の診療に従事しております。