うつ病の自己スクリーニングはこれ!PHQ-9
うつ病の自己スクリーニングはこれ!PHQ-9
世界各国において行われた疫学調査によると、うつ病の生涯有病率(調査時点までにうつ病になった人の割合は3〜16%と報告されています。
日本の疫学調査場合は、うつ病の生涯有病率は3〜7%の結果が示されています。
諸外国よりは低いものの、100人の知り合いのうち3〜7人は一生のうち1回はうつ病になる可能性があることになります。
うつ病の人は病院を受診しないことも多く、最悪の場合には自死に至るリスクがある怖い病気です。
ですから、より早くうつ病を発見して治療を受けるようにしなければなりませんね。
PHQ-9とは?
PHQ-9は、うつ病の簡便な早期発見ツールです。
Kroenkeらが評価報告したもので、短時間で精神疾患を診断するシステムであるPRIME-MDというものを更に簡便化して、うつ病のみを見つけるために改良されたものです。
PHQ-9を行った人の88%を正確にうつ病であると診断でき、うつ病の人のこれまた88%を正確にうつ病であると診断できたといいます。
うつ病診断には「気分の落ち込み」と「楽しい感じの消失」の評価だけで十分?
PHQ-2は、PHQ-9のうち「気分の落ち込み」と「楽しい感じの消失」の2項目のみを調査するものです。
PHQ-2で2点以上である時のみPHQ-9の残りの7項目を検査しても、はじめからPHQ-9の全9項目を全て行っても、調査した人からうつ病の人を抽出する感度に差はなく、うつ病の人をうつ病であると判定できる特異度はかえって僅かによかったという報告があります。
PHQ-2を利用することによって、PHQ-9を全てする人の数を57%減らせるらしいのです。
逆から考えると、PHQ-2が1点以下であれば「うつ病ではない」とほぼ考えていいととですね。
いますぐできるPHQ-9!
スマホで「PHQ-9」をGoogle検索すると、「PHQ-9」質問票の診断サイトが検索されます。
サイトアドレスは「 https://www.mdcalc.com/phq-9-patient-health-questionnaire-9 」です。
PHQ-9の点数はどう判定評価するの?
- 計算された点数が「4点以下」の場合は「正常」であり治療を求める必要はありません。
- 計算された点数が「5-9点」の場合には「経過観察」で定期的にPHQ-9を測定するといいとのことです。
- 計算された点数が「10-14点」の場合、「中等度のうつ病」であると判定します。このときは病院で相談する必要があります。
- 計算された点数が「15-19点」の場合は重度のうつ病です。即時に病院を受診するべきです。
- 計算された点数が「20点以上」の場合は重度のうつ病で直ぐに治療が必要です。
さあ、自分でも調べてみましょう!
「PHQ-9」質問票の診断サイトは英語ですが、今では Google翻訳で簡単に日本語化できるので、ストレスが溜まっていると感じている人はチェックしてみてはどでしょうか?
参考文献
- 川上憲人,世界のうつ病,日本のうつ病──疫学研究の現在,医学のあゆみ,Volume219,Issue 13,925-929,2006,医歯薬出版株式会社.
- Kroenke K, Spitzer RL, Williams JB, The PHQ-9:validity of a brief depression severity measure, J Gen Intern Med, 2001, 16, 606-13.
- 村松公実子,PHQ-9(Patient Health Questionnaire),臨精医,2010,39,236-9.
- Levis B et al., Accuracy of the PHQ-2 Alone and in Combination With the PHQ-9 for Screening to Detect Major Depression: Systematic Review and Meta-analysis, JAMA, 2020 Jun 9, [Online ahead of print].