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認知行動療法とはどのような治療法か?

認知行動療法とはどのような治療法か?

妄想

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認知行動療法でいう認知とは、乱暴に言うと「物事をどのように解釈するか」と言っていいでしょうか。

生じた出来事に対して、その出来事をどのように解釈するかによって気分も変わってきます

生じた出来事をどう解釈するかについては、それが生じた状況によっても変わってきます。

さらに、これまでどのような体験をしてきたかも解釈ひいては気分に影響を与えるのです。

この解釈を分析することで気分を改善するのが認知行動療法です!

「体験→状況→出来事→解釈→気分」という流れの実例

気分は次のような流れで生じてくるものです。

体験→状況→出来事→解釈→気分」です。

例えばあるとき、あなたの後ろから誰かが走ってきたとします。

ケース1

  • 状況→急いで走っているときに店の看板に鞄を引っ掛けて倒してしまったが、急いでいたのでそのまま立ち去った。
  • 解釈→店の人が怒って追いかけてきた!
  • 気分→不安。

ケース2

  • 状況→何も生じることなく街を歩いていた。
  • 解釈→あれ人が走ってきている。
  • 気分→ネガティブな感情は生じない。

ケース3

  • 体験→小さい頃に後ろから走ってきた通り魔に斬りつけられた。
  • 状況→何も生じることなく街を歩いていた。
  • 解釈→また危害を加えられるのじゃないか?
  • 気分→恐怖!

このように、過去の体験と、いま生じた状況、そしてこれらの関係から生じた出来事をどう解釈するかによって気分が変わってくるのです。

認知行動療法の本質:解釈を違うものに変えるのではない!

認知行動療法のハイライトスキルである認知の再構成法は、ある出来事に対して生じた自分の解釈を変更するためのスキルではありません

ある出来事に対して生じた解釈を、その解釈が正しい可能性の確率と、正しくない可能性の確率案分するというのが本質なのです。

先にあげたケースについて考えてみます。

ケース1で、急いで走っているときに店の看板に鞄を引っ掛けて倒してしまったが、急いでいたのでそのまま立ち去った。そして、店の人が怒って追いかけてきたと考えるのは、それほど非合理的な解釈とは言えないでしょう。

しかし、店の人が追いかけてくるということが生じる可能性は100%ではありません。

そうである可能性はあるでしょう。

しかし、ケース3のように走ってくる人が通り魔あり自分に斬りつけてくる可能性は極めて少ないと言えるでしょう。

それが真っ昼間の繁華街なら、斬りつけられる可能性は交通事故に遭うよりははるかに低いと言えますね。

ケース2のようにネガティブな感情や解釈が生じないときには認知の分析をする必要がないことは言うまでもありません。

ケース1の認知の分析手順

状況:急いで走っているときに店の看板に鞄を引っ掛けて倒してしまったが、急いでいたのでそのまま立ち去った。解釈:店の人が怒って追いかけてきた!気分:不安。

このケース1を考えてみましょう。

認知の再構成法では、その解釈を支持する根拠反論する根拠列挙して、それらを眺めて妥当性を検討し気分を安定化するのです。

この解釈を支持する根拠

  • 店の人が怒るようなことを実際に自分はした!
  • 店の人が気付くような大きな音がした!
  • この店の人はすぐ切れることが知られている!
    etc.etc.

この解釈に反論する根拠

  • 店の人が怒るようなことをしたが店の人が追いかけてくるのを確認していない!
  • 大きな音はしたがダンプカーが店の前を猛スピードで走り抜けていて、看板が倒れる音が店の中まで聞こえる可能性は高くない!
  • 看板を倒した店から2kmも離れていているうえ、倒した時から30分以上も経っているので、店の人が追っかけてくるには遠すぎ遅すぎ!
    etc.etc.

これらの解釈についての分析を行ってみると、店から2kmも離れたところで、特に看板を倒してから30分も経っている時点で店の人が追いついてくると言うのは、どう考えてもありそうにありません。

合理的に考えれば、店の人が追いかけてきている可能性は10〜20%くらいはあるだろうけれど、50〜60%の確率で追っかけてきてはいない!となるでしょうか。

であるなら店の人が追っかけてきているのを恐れる程度は、いま感じている不安の10〜20%程度にであるのが妥当ですね。

店の人が追いかけてくるなら、看板を倒してから1分以内に追いかけて来るでしょう。

不安はかなり軽くなるのではないでしょうか?

もっと分かりやすい実例から認知行動療法を理解する

もっと分かりやすい例を挙げるなら、いつも挨拶すると「○○君か!いつも頑張ってるねぇ!」などと笑顔で応えてくれる上司が、ある日、挨拶しても怖い顔をして一瞥もせず過ぎ去っていったとします。

この時、昨日、頼まれた用事を締め切りの迫った仕事があったので断ったことで気分を害しているんだ!と考えるか、

いま、警察から連絡があって、奥さんと子供さんが交通事故にあって瀕死の状態で病院に運ばれたと連絡があったのかも知れない!と考えるかで、自分の心に生じる気持ちは大きく変わるでしょう?

このように生じた出来事や状況をどのように解釈するかによって、気分は大きく変わって来るものなのです。

この解釈を合理的で客観的な解釈に近づけることで、ネガティブな気持ちを改善するのが認知行動療法というものなのです。

まとめ

認知を分析して合理的な認知を検討することで、人生における全てのストレスを上手に対処することができるようになると思います。

ぜひ、認知行動療法のスキルを身につけてください!

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