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集団免疫戦略か?クラスター対応戦略か?どっちがいいの?

集団免疫戦略か?クラスター対応戦略か?どっちがいいの?

免疫

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集団免疫戦略という独自路線をとっているスウェーデンとクラスター対応戦略の日本。どちらも本当に効果はあるのでしょうか?

スウェーデンでは日本と同様、ロックダウンすることなく独自の新型コロナウイルス対策を行っています。

日本と異なるのは、マスクの着用も自由であり経済活動も特段に制限されてはいないようなのです。

スウェーデンの独自路線について私が把握していたことを以下にあげてみます。

スウェーデンの施策

  • 営業自粛はなく店やレストランは営業
  • 保育園・小学校・中学校は通常授業
  • 高校・大学・成人向けの学校は閉鎖してオンラインで授業

社会的に推奨されていること

  • 70歳以上の人に会わない
  • 少しでも体調がおかしかったら会社や学校を休む
  • 可能なかぎりテレワークにする

法律で禁止されていること

  • 呼吸器症状のある人の高齢者施設への訪問
  • 50人以上の集会

行政指導で勧告されていること

  • 屋内外で他の人と距離を開ける
  • 人が多く集まる冠婚葬祭パーティーなどの機会を作らない
  • スポーツ施設では更衣室で着替えない
  • 不要不急の旅行は避ける

推奨されていること

  • 散歩などの外出

スウェーデンの集団免疫戦略は成功しているのか?

スウェーデンは集団免疫戦略は行なっていない?

まずはじめに注意しておくことは、スウェーデンは公には集団免疫戦略を行なっているとはしていないことです。

集団免疫戦略は1つの考え方であって、新型コロナウイルス対策としてエビデンスが確立してはいないからです。

それでもスウェーデンが新型コロナウイルス感染の予防に関して、マスクの着用や経済活動の自粛や制限を行なっていないことは、国民の一定割合が新型コロナウイルスに感染して免疫を獲得すれば、ウイルスが人に感染するリスクが減って感染の拡大が抑えられるという集団免疫戦略に基づく施策だと考えられます。

なお、ストックホルム大学の試算では、新型コロナウイルスで集団免疫が達成できるのは国民の約40%が感染すればいいとのことのようです。

超ドライ?スウェーデンの対感染ポリシー

スウェーデンと同様、イギリスが集団免疫戦略をとったものの、感染拡大と多くの死者を出すことになるとして集団免疫戦略を止めてしまいました。重症化と死亡リスクの高い高齢者に犠牲者が多く出るとの批判も方針変換の理由のようです。

高齢者の感染予防と死亡者の増加へのスウェーデンの施策は、超がつくほどドライに思えます。

限られた医療資源、つまり集中治療室(ICU)のベッド数や人工呼吸器に体外式膜型人工肺(ECMO)の設備の数量に限りがあり、高齢者は重症化しても集中治療を受けられないのです。

実際、スウェーデンの高齢者施設で新型コロナウイルス感染で死亡した高齢者は、入院することも許されず、例え入院したとしてもICUで治療を受けることができずに死亡したということです。

再生産性の高い若い人を優先して救おうという考えですね。そのため、スウェーデンでは新型コロナウイルス感染で死亡した人の多くが高齢者でした。

医療崩壊に至らないことが最重要?

感染を十分に治療できる医療機関のベッド数を確保して、治療できない感染者が生じないようにすること、すなわち医療崩壊を生じないようにさせることが最も重要です。

人工呼吸器で治療しなければならない重症患者や、ECMOを必要とする最重症患者を治療できる病床を余裕のある数確保しておかなければなりません。

今のところスウェーデンでは医療崩壊は生じていません。しかしこれは、スウェーデンの非人道的とも思えるトリアージ方針によるのでしょう。

先に述べたように、スウェーデンでの医療崩壊の防止策は多くの高齢者の犠牲の上に成り立っていたということかもしれません。

国民に感染を拡大させない方針の日本と集団免疫戦略のスウェーデン、どちらが良策?

毎日の感染者割合が100万人当たり100人を超えたスウェーデンと1桁台の日本ですが、経済活動についても微妙な違いがあります。

緊急事態宣言下では経済活動を抑制したけれど、その解除後はなんとも指導力のない方針の日本に比べ、感染者が増加していても一貫して経済活動を抑制しないスウェーデン。感染症対策と経済活動のバランスはどちらが優れているのでしょうか。

死者を少なくすることでは日本が圧倒的に優位

スウェーデンで、新型コロナウイルス感染で死亡した人の割合は、人口100万人当たり500人を超えています。日本の推計人口が2020年2月で約1億2600万人ですから、同年8月9日時点での死者数1048人という数字から計算すると、日本の人口100万人あたりの死者数割合は約8.3人と桁違いの少なさです。

経済活動への影響は差がない?

スウェーデンでは、高校や大学や成人向けの学校はリモート講義となって通学しないようにされています。その一方で保育園・小学校・中学校は普通に通学して授業が行われています。会社においてもリモートワークが推奨されています。日本では高校までは原則的に通学での授業が行われています。仕事についてもスウェーデンと原則的に同じで、これらの領域での大きな違いはないかもしれません。

また、ナイトクラブやバー、レストラン、カフェなど着席してのサービスは行われており、店舗も普通に営業していていつものように買い物ができます。日本では一部に入店制限をしている業種もあるようですが、ファミレスなどはマスクの着用と手指の消毒を行なって普通通り利用できます。感染防止という意識は日本人の方が高いようです。日本人の国民性でしょうね。

旅行についてもスウェーデン、日本ともに特別の規制を行ってはいません。不要不急の移動を自粛することを各個人の判断に任せています。

スウェーデンの2020年4~6月期のGDPは前期比8.6%減であったのに対し、日本の2020年4~6月期のGDPは、民間12社の予測平均値は前期比7.0%減というものでした。これは両国共に相当に厳しい数字であるものの、緊急事態宣言時に営業自粛を行った日本の落ち込みが大きかったようです。しかし共に、長期のロックダウンを行った国々に比べると影響は少なかったことは確かです(ドイツ:前期比10.1%減、フランス:13.8%減、イタリア:12.4%減)。

経済か?感染予防か?

GDPの数字からうかがえることは、新型コロナウイルス感染症の予防策と経済活動は相反する関係にあることが分かります。感染しないような社会的施策をすれば、経済的には不況を招くことになるということですね。

感染予防を重視し過ぎれば経済が失速し、経済的困窮から自殺者が増加したり、メンタル面での不調から休職してしまう人が増えることが予想されます。

難しい問題ですが、何とかうまいバランス点を見つけられるといいのですが・・・

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