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怒りへの対処法: 「正しさの綱引き」を意識する!

怒りへの対処法: 「正しさの綱引き」を意識する!

怒り

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怒りが湧き上がってきたときに生じている心理現象の1つに「正しさの綱引き」という状態があるそうです。この「正しさの綱引き」という考え方は、僕にとっては目から鱗でした。確かに振り返って見ると、「正しさの綱引き」言い換えると「正論の戦い」が生じていることが多いのではないでしょうか?

そして、この「正しさの綱引き」は「自分は正しい!」という無意識の信念によりエネルギーを注入されて、「自分の判断」だけに頭を占領され「相手の事情」というものに配慮することが全くできなくなってしまうのです。この「相手の事情」を意識するだけで怒りの大きさが変わってきます。不思議ですね。

「正しさの綱引き」に勝利はない!

このフレーズは『「対人関係療法」の精神科医が教える「怒り」がスーッと消える本(水島広子 著)』という本の小見出しですが、これを見たとき当に言い得て妙という印象受けました。

「正しさの綱引き」というものは、キリスト教信者の方がイスラム教信者の方と「キリスト教とイスラム教ではどちらが正しいか?」ということで喧嘩しているのと同じようなものでしょう。どちらかが相手を一方的に打ち負かすことができないのです。

怒りにともなう思考を客観的に分析すべし

何か相手の言ったことや態度に腹を立てたとき、こちらは「不当だ!」とか「おかしい!」とか「横暴だ!」とか「わがままだ!」とか「卑怯だ!」とか「ずるい!」とかいろいろな思いが生じて腹が立ちます。これは著者によれば、自分が「被害を受けた」という気持ちの流れが生じているというのです。

あの人が被害を与えたのだから、あの人が償うべきだ!という思いが生じるということでしょう。言いかえれば、「わたしは正しい!」「あの人は間違っている!」「間違っている者は罰を受けなければならない!」という気持ちですね。逆から言えば「被害を与える者には報復せよ!」という本能に近い自動思考かもしれません。「被害を与える」というのは究極の「正しくない」ことということです。

ところが、自分の側からみて正しくないことも、相手の側から見れば100%の正しくないことではないかも知れないのです。「自分の判断」と「相手の事情」は違うということですね。

しかし、被害を受けているこちらとしては、相手の事情に配慮する心の余裕などありません。自分が被害を受けていることしか頭にない状態となっています。私は正しい!相手は間違っている!という考えで一杯になってしまうのです。

でもひょっとすると、相手には相手なりの「自分の方が正しい」という「相手の事情」があるのかも知れないと考えてみましょう。こう思いを馳せることで、自分に生じている怒りの感情に呑み込まれることがなくなり、怒りの感情から生じてくる思考を客観的に見ることができるようになります。

自分の感情から距離を置いて思考を客観的に観察できるようになると、怒りの感情に呑み込まれて生じてくる相手への怒りの思考が拡大再生産(悪循環)されなくなるのです。思考の悪循環は怒りの感情を、これもまた拡大再生産(悪循環)させてしまうものです。この悪循環を断ち切るのが「相手の事情」に想いを及ぼすことなのですね。

とは言うものの、先にあげた本の著者、水島広子氏が書いてい流ように、「自分の正しさ」を手放すのは難しいです。常に日頃から「相手の事情」を知ろうと意識する練習をしましょう ^ - ^

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