睡眠に栄養が関係する!『脳が若返る最高の睡眠』からの学び
睡眠に栄養が関係する!『脳が若返る最高の睡眠』からの学び
『脳が若返る最高の睡眠 寝不足は認知症の最大リスク』(加藤俊徳著,小学館)という本から睡眠には栄養が重要な役割を演じているということを学びましたので、私の備忘録として紹介したいと思います。
本にあった睡眠不足による弊害をまとめてみると、
- 一晩徹夜すると脳の機能はビール大瓶1本飲んだのと同程度に低下する
- 肥満になりやすくなる
- 糖尿病になるリスクが高まる
- うつ病になるリスクが高まる
- 認知症になるリスクが高まる
- 癌の病状の悪化を招く
などのことが報告されているとのことです。
そして、睡眠には栄養素なども大きな役割を果たしているということでした。以下に睡眠に関係する栄養素などをまとめてみました。
睡眠に関係する栄養素
(1)トリプトファン・食物繊維・ポリフェノール
トリプトファンは睡眠を促進するメラトニンの原料となるのですが、人の体の中で作られることができない必須アミノ酸です。体内で作られないので食物から摂取する必要があります。トリプトファンを多く含む食物には、赤身魚(マグロ・カツオ・サケなど)、肉類(豚肉・牛肉・鶏肉など)、大豆製品(納豆・豆腐・豆乳など)、乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルトなど)、玄米、そば、バナナ、ブラックチョコレートなどがあり、これらを食べることでメラトニンの原料になるトリプトファンを補充することができるのです。
ところで、睡眠を司るホルモンであるメラトニンの産生に腸内細菌が関係していることをご存知ですか?メラトニンはトリプトファン→セロトニン→メラトニンという順番で作られるのですけど、腸内細菌は腸でのセロトニンの産生を促進し、腸で作られたセロトニンは脳内で作られるメラトニンの原料にもなります。
また、善玉菌と悪玉菌のバランスを腸内フローラと言いますが、これが良いバランスで形成されているほどメラトニンは多く作られるのです。食物繊維はこれら腸内細菌の食糧になり、良好な腸内フローラを形作るようになります。食物繊維は果物や野菜に多く含まれているので、果物や野菜をたくさん摂るといいのです。
そして、食物繊維など腸内の善玉菌の増殖を促進し、悪玉菌の増殖を抑える難消化性の食品成分のことをプレバイオティクスと言い、善玉菌と悪玉菌のバランスを良好にする作用のある微生物の菌体(生死にかかわらず有効)のことをプロバイオティクスと言い、乳酸菌やビフィズス菌などがあります。納豆、キムチ、漬け物やミソなどですね。これらも食べることをお勧めします。
さらに、果物と野菜に含まれるポリフェノールは概日リズム(睡眠覚醒のリズム)によい影響を及ぼすので良好な睡眠を得るのに役立ちます。ポリフェノールはブドウやリンゴなどに多く含まれます。
(2)オメガ3脂肪酸
:脳の中では、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は、脳の神経細胞の細胞膜という神経細胞の境界を形作る材料です。これが足りなくなると神経細胞のネットワークの機能低下をきたす可能性があります。欧米や食事が欧米化した日本でも不足がちな栄養素であり、理想的にはオメガ3:オメガ6=1:4(〜1:1)の比率で摂ることが良いとされています。ちなみに欧米食ではこの比率が1:10〜40になるということです。
オメガ3脂肪酸は、アジ、サンマ、サバ、イワシ、サケ、アマニ油、エゴマ油、クルミ、カボチャなどに多く含まれています。
(3)鉄分
鉄分は睡眠に大きな影響を与えているのです。鉄分はセロトニンとドーパミンをつくることに必要な酵素というものの働きを活性します。つまり、鉄分が不足するとセロトニンとドーパミン産生に支障が出ることになるのです。
当然、セロトニンが不足するとセロトニンから生成される睡眠ホルモンであるメラトニンの産生も少なくなって睡眠に良くない影響を与えることになります。
また、鉄分の不足によって足がムズムズして眠れないムズムズ脚症候群になってしまい眠れなくなることもあるのです。
なお、鉄分は牛肉、豚肉、レバー、マグロ、カツオ、アサリ、シジミ、カキ、ホウレン草、小松菜、枝豆、そら豆、豆乳、鶏卵、ゴマなどに多く含まれています。