気晴らしを重視するダイバージョナルセラピーって?
気晴らしを重視するダイバージョナルセラピーって?
近ごろ介護の領域で「ダイバージョナルセラピー」という考え方が話題になっていますが、聞いたことはあるでしょうか?恥ずかしながら私は知りませんでした。そこで「ダイバージョナルセラピー」なるものについて調べてみました。
「ダイバージョナルセラピー」とは高齢の利用者さんファーストのセラピーのこと!
現在の介護の世界では、利用者さんの思いを第一に配慮して介助が行われる状況にはありません。強制収容所とまでは言いませんけど、利用者さんを含めた施設の運営管理が中心に運営されています。
人員不足や経営の問題から利用者ファーストに施設の運営を行うことが難しいのです。そこで注目されたのがダイバージョナルセラピーです。
ダイバージョナルセラピーでは、利用者さん一人一人の生きやすさを第一に考えた気晴らしの方法を探っています。
オーストラリア・ダイバージョナルセラピー協会のPeggy Skehan氏は「ダイバージョナルセラピーとは、朝、ベッドから起き上がる理由をもてるように手助けすることである」と述べています。
ダイバージョナルセラピーを行うことで、今日はあの気晴らしを行えるから、身体的には休んでいたいけどイッチョ行ってみるか!とか言うように、自発的にリハビリするモチベーション(内的動機付けと言います)が湧き上がるようにするのですね。
つまり、加齢による体力や筋力の低下、認知症などで体を動かしにくくなったり心の活力が低下してしまっている状態を、気晴らしをうまく使って楽しく心身の能力の回復を目指すのがダイバージョナルセラピーなのです。
なお、ダイバージョナルセラピーとは「気晴らし」という意味のあるダイバージョン(Diversion)という言葉が語源ということで、オーストラリアが発祥のセラピーのようです。
ダイバージョナルセラピーの具体的な方法は?
ダイバージョナルセラピーというような仰々しい名前がついていますが、そこで行う「気晴らし」には特別な形式などはありません。
気晴らしになるなら、どんなものでも構いません。ゲーム、運動、散歩にダンスやレクリエーションなど、何でもいいのですね。
する人にとって心地よいことをすることが何よりも大切なのです。そして、今まで生きてきたライフスタイルや好みなどから、する人にとって意味のあるものを事前に知っておくことが、ダイバージョナルセラピーの第一歩になります。
それを知ったうえで、どんなことがその人にとって価値のある気晴らしになるのかを考慮して、ダイバージョナルセラピーの計画を立てて実行していくのです。
それから実際にダイバージョナルセラピーを行った後、結果の評価をしっかり行なって改善すべきところは改善し、以後の気晴らし法をより価値のあるものにしていきます。
なお、ダイバージョナルセラピーは子どものケアやリハビリテーションなど、色んな領域で活用されているようですよ。
ダイバージョナルセラピーのワーカーがいる!
ダイバージョナルセラピーを行なう専門家をダイバージョナルセラピーワーカー(DTワーカー)といいます。
DTワーカーになるにはNPO法人日本ダイバージョナルセラピー協会主催の講座を48時間も受講した上で、認定試験に合格しなければなりません。
2015年1月時点で255人のDTワーカーが登録されており、法人会員数は 2015年3月時点で35 団体に及び、高齢者支援、医療、地域保健福祉、精神保健、障害児者支援、子育て支援、子ども家庭福祉、福祉機器、IT 産業、企画広報事業など様々な領域での活動が行われているようです。
まとめに替えて
ダイバージョナルセラピーを取り入れている介護施設の評判は上々だそうです。
一人一人の生き方を配慮して、その人がどんなに心身の不具合を抱えていたとしても、その人にとって価値のある気晴らしを自分が希望している気晴らしを自分で決めることができるようにすることが、本当に大切なのですね。