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敬語理解の基礎と一般的注意点

敬語理解の基礎と一般的注意点

説明

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敬語は、間違った使い方をすればかえって印象を悪くしてしまいます。さらに、相手や自分の立場を配慮しない言葉づかいは、これから開かれる相手との繋がりを壊してしまうものです。初対面であっても多少の面識がある方であっても、言葉づかい、とくに敬語を適切に使えるようになることは、社会人として生活していくうえで大切な素養となります。ここでは、社会人として知っておくべき基本的な敬語の使い方と用例を紹介します。

敬語を理解するためのキーワード

敬語の種類と機能を理解するのは意外と難しいものです。文化審議会の「敬語の指針」には「行為者」「向かう先」「立てる」とのキーワードがあげられているものの、少し分かりにくいように思われます。そこでここで提示するのは「高める」「低める」「自分側」「相手側」「第三者」という5つのキーワードです。

「高める」とは?

敬語の対象となる人物側の物・事・人・状態を高く位置づけて、立てるとか敬うということです。

「低める」とは?

発言している側に帰属する人などが、へりくだったように表現することを指します。

「自分側」「相手側」とは?

自分をどのグループにくくる(どのグループに帰属させる)かによって変ってきます。

自分を家族でくくれば家族は「自分側」で、家族以外が「相手側」か「第三者」となります。また会話している相手とその相手の家族親族や相手が勤務している会社なども「相手側」です。そして「自分側」でも「相手側」でもない人が「第三者」となります。

これらの分け方に応じた敬語の使い方としては、「相手側」には尊敬語を、「自分側」には謙譲語を使います。また「第三者」については、「相手側」から見て「第三者」が高めるべき対象であれば尊敬語を使うといいでしょう。

「自分側」と「相手側」「第三者」からの分け方の実例と敬語の使い方

例えば自分の伯父について、自分を家族でくくるような親族の集まりで、伯父の家族と話すときには伯父は「相手側」となリます。そのような場合には、例えば「明日、叔父様は全日空をご利用になるのですね」のように表現します。

しかし、会社の上司と話すときなどのように自分を親族でくくるような場合には、叔父は「自分側」となるので「明日、叔父は全日空を利用するようです」とするべきです。

このように自分をどのグループにくくるかによって、同じ人物が「自分側」になったり「相手側」になったりするので注意する必要があります。

「第三者」は、会話している話し手と聞き手に共通の恩師などです。ただし、恩師が主催しているグループの一員として他のグループの人と話すときには、恩師は「自分側」であり「第三者」とはならないので注意してください。

なお「自分側」「相手側」「第三者」の中には人物だけではなく、その人物の行為、ものごとや状態など、その人物に帰属するもの全てが含まれます。ものごととは名前や所有物、状態とは慌てているとか気持ちよさそうにしているとかいうようなことです。

敬語の種類とその意味するところや注意点

敬語は、平成19年に提出された文化審議会の国語分科会による「敬語の指針」において、尊敬語」「謙譲語Ⅰ」「謙譲語Ⅱ(丁重語)」「丁寧語」「美化語」の5つに分けられています。

尊敬語とは

話の中で言及している「相手側」や「第三者」を高める表現のことです。「○○様(相手側)は明日からイギリスに《いらっしゃる》んですね」などがその例で、「いらっしゃる・おっしゃる」型といわれるものです。

謙譲語Ⅰとは?

会話の中で言及されている「相手側」もしくは「第三者」に対して、「自分側」を低めて相対的に「相手側」もしくは「第三者」を高める表現法です。「伺う・申し上げる」型といわれています。用例としては「○○先生(第三者)が渡米される前に『伺い』たいとおっしゃっています」などです。

謙譲語Ⅱとは?

話を伝えている対象である聞き手に対して、「自分側」を低めることで聞き手を高める表現方法を指します。「参る・申す」型といわれるもので、例えば「はい、明日からイギリスに『参り』ます」などの言葉づかいです。

丁寧語とは?

気持ちの丁寧さを伝える表現方法です。「今日は日曜日です」などの「です・ます」型となります。「今日は日曜日よ」などの表現と比べると丁寧だというのが分かるでしょうか。

美化語とは?

表現の品位を高めるための表現方法です。「お酒・お料理」型と言えます。

なお、名詞につける「お」は、つける名詞が「高める」対象に帰属するものであれば尊敬語となり、「低める」対象である「自分側」に帰属するものであるときは謙譲語Ⅰとなります。さらに、「高める」ことも「低める」こともない対象に属するものであれば美化語となるので複雑ですね。

基本的な前提としての名乗り方と呼び方

自分のことや「相手側」への表現に注意が必要です。社会人が、公の場で自分のことを「僕」とか「自分」と表現するのは適切とは言えません。自分のことは「わたくし」と表現すべきです。「わたくし」のくだけた言い方である「わたし」も、公の場や対外的な場面では避ける方がいいでしょう。

また、自分が所属する会社のことは「弊社」もしくは「わたくしども」とし、「相手側」の会社は「御社」とするのが普通です。さらに「相手側」の配偶者に言及するときは「奥様」「ご主人様」と表現します。子どもについてはお子さんではなく「お子様」が適切です。

逆に「自分側」については愚妻や愚夫、愚息、愚女という言葉がありますが、単に妻や夫、息子、娘という用語が謙譲語となります。愚息とか愚妻という表現をされると発言者に親しみを感じなくなるのは私だけでしょうか?

話しかけや謝罪の切り出しについて

人に話しかけるときには、状況に応じて話しかけの切り出し方というものがあります。特段なにもしていない人には「おそれいります」と声かけして、こちらに相手の注意が向いてから話しはじめます。また、何かしている人には「お忙しいところ、失礼いたします」などと言って、注意をこちらに向けてもらってから話しだすのが原則です。「すいません、~~」などというのは少しくだけ過ぎた表現になるので、使う相手や状況を考えて使用するのがいいでしょう。

なお「お取り込み中」という表現は、元来は「冠婚葬祭で慌しい中」という意味で使われていました。しかし、現在では「ばたばたして慌しいところを」という意味で使われているため、軽い雑談をしている人に話しかけるときには違和感がある表現になるので心得ておきましょう。

誤解されている敬語の使い方

よく耳にする間違った使い方は、目上の人に対して「ご苦労さま」「了解しました」「お世話様です」「ご一緒します」「大変参考になりました」「どうぞお座りください」などでしょう。それぞれ「お疲れ様でした」「承知しました」「お世話になっております」「お供させていただきます」「大変勉強になりました」「どうぞお掛けください」とするのが正解です。「お久しぶりです」というのは失礼にはあたりませんが、「ご無沙汰しておりました」とする方が敬意が伝わります。最後に謝罪については「すいません」は不適切です。敬語としては「申し訳ございません」を使うようにしましょう。

まとめ

敬語の基本は、自分側を低めて、相手側を高め、全体に品位を持たせることです。敬語を使うときには、ここで述べたように低めるべき自分側と高めるべき相手側を適切に判断することが大切です。

しかし、それ以上に大切なことは、敬語は、互いの存在を尊重し、良好なコミュニケーションを行うために使用する主体的自己表現であるということです。心からの敬意や誠意、思いやり、自己の主体性などが前提となっていなければなりません。いくら形式的に敬語を使ったとしても、心が伴っていなければ相手は違和感を感じてしまうものです。心の伴った敬語を、正しく使うことを心がけましょうね ^ - ^

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