新型コロナウイルスのワクチンの効果の意味するもの
新型コロナウイルスのワクチンの効果の意味するもの
新型コロナウイルスのワクチンは効果が90%以上であるとかニュースで報道されています。ワクチンは効果があるのだなぁと何気なく聞き流しているのではないでしょうか。でも、この効果とは新型コロナウイルス感染症の何に効くのかよく分かりませんね。ここでは新型コロナワクチンの効果について考えてみました。
ワクチンの効果の内容
ワクチンの効果には次のようなものがあると考えられます。
- 新型コロナウイルスに感染すること自体を予防する効果
- 新型コロナウイルスに感染しても発病することを予防する効果
- 新型コロナウイルスに感染しても症状が重症化するのを予防する効果
- 新型コロナウイルスに感染しても早く治るようにする効果
- 新型コロナウイルスに感染しても他人に感染させることを予防する効果
などがあると論理的には考えられます。
これらの中で新型コロナウイルスのワクチンで証明されているのは新型コロナウイルスに感染しても「発病することを予防する効果」です。そして、治験段階のデータから「症状が重症化するのを予防する効果」のあることも確認されているといいます。また、専門家の解説によれば細胞性免疫の活性化と抗体の増加から「新型コロナウイルスに感染すること自体を予防する効果」のあることも論理的には生じるとのことです。
しかし、ワクチンにより「他人に感染させるリスクを低くする効果」があるかどうかは分かってはいません。というものの、ワクチンの効果で強化された免疫によって感染した人の体内でのウイルス増殖量が少なることは期待されるため、ワクチンを接種することで他人に感染させる可能性を低くすることも期待できるかもしれません。
なお現在、自由主義圏諸国で製造されているファイザー社(米)/ビオンテック社(独)のワクチンやモデルナ社(米)のワクチンは、それぞれ95%と94.1%の効果があるとしているのは、発病予防効果のことです。
クラリット・リサーチ・インスティテュート(イスラエルの医療サービス会社)が調査したワクチンの効果
国民の約2割に1回目の新型コロナウイルスワクチン接種を終えた(2021年1月11日時点)イスラエルのクラリット・リサーチ・インスティテュートの調査によると、ファイザー社/ビオンテック社が共同開発したワクチン(接種が2回必要)は、初回の接種での有効性は約30%だったとのこと。やはりファイザー社/ビオンテック社が述べているように、1回の接種では新型コロナウイルス感染を予防する効果は弱いということでしょうか。
しかし、そうとも言えない結果も得られたのでした。ワクチン接種を受けた人と受けていない人それぞれ20万人について比較したところ、1回目のワクチン接種から12日目までは接種した人と接種していない人の新型コロナウイルスへの感染率は統計学的に意味のある差は認められませんでした。ところが、接種した人の感染率は1回目のワクチン接種から14日目以降では低下しており、17日後の感染率は60~80%に低下していました。
また、イスラエル保険省の発表では、1回目のワクチン接種から14日以内に新型コロナウイルスに感染した人が7670人であったのに対し、15日~22日を経過した人のそれは20分の1以下の353人であったというのです。
これらの結果は、1回のワクチン接種でも2〜3週間経てば十分な感染予防効果が得られるということを示しています。
ワクチンを打つことの意味合いとは?
上の内容とはちょっと結果が異なるのですが、ワクチンの効果とは、一般にウイルスへの感染を予防するものではなく、感染しても発病することを少なくするものだと言われています。ですから、日本でも世界でも多くの人に存在している「感染はしているが症状が出ていない人(不顕性感染者)」を作るということかもしれません。
日本でも不顕性感染者からの感染拡大が問題となっていますが、多くの人が不顕性感染者となれば集団免疫が獲得され、全体として感染して症状が出る人や重症化する人の数が問題のない範囲にまで減って医療崩壊を阻止することができるということになりますね。
結論:ワクチンを接種する意味
以上より、ワクチンを接種することで、
- 感染しても症状が出ないですむ可能性が高まる
- 感染しても重症化しないですむ可能性が高まる
- 感染しても他人に移すリスクを低められる
- 感染するリスク自体を低められる
ワクチンの接種はこの4つの意味があると言えるのではないでしょうか?安全性の問題が取りざたされてはいるのですけれど、他のワクチンより危険である可能性は低いので、新型コロナウイルスのワクチンを接種することをお勧めします。
ただし、アレルギー反応の既往のある人は接種しない方がいいことは言うまでもありません。
補遺
NHKニュース(2021年2月17日)によると、イスラエルで新型コロナワクチンを接種した人としていない人、それぞれ60万人を比較したところ、発病が94%低下し、重症化も92%低下したとのことです。
ニュースソース
- https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/
- https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210113/k10012811001000.html?fbclid=IwAR1K7uu_4H12Tpl8ufOLmgj3QgQ10aubdaDWtk4IulqZqJqcy5SmozemTLA
- https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/jiji/jiji72/?utm_int=detail_contents_news-link_001vaccine_yuukousei_anzensei.html#h2_free7
- https://jp.glico.com/boshi/futaba/no78/con02_06.html
- https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210120-0021893/
- https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210120-00217893/
- https://news.yahoo.co.jp/articles/371c1c1e6b99b87466c73bddc981f408169df753?
- https://forbesjapan.com/articles/detail/39536/1/1/1