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睡眠薬を飲んでも不眠は治らない?じゃあ減らし方は?

睡眠薬を飲んでも不眠は治らない?じゃあ減らし方は?

眠れないのは本当につらいですね。2週間も3週間も自然に眠れないときには睡眠薬を飲みたくなるのは人情でしょう。しかし、睡眠薬を使っても睡眠障害は治らないという報告がでたのです。ブリガム・アンド・ウイメンズ病院(米国)の研究報告をまとめてみました。

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睡眠薬

中年女性について調査したところ、眠れない状態が病気のレベルであると判定され睡眠薬を服用している人は、睡眠薬を服用していない人に比べて1年以上たっても不眠は「殆ど改善していなかった」というのです。

少し詳しく見てみると、調査を開始した時点での不眠の程度と、1年後および2年後の不眠の程度とを比較したところ、1年後の不眠の程度は不眠の種類(寝つきが悪いとか途中で目覚めるなど)に関わらず改善は認められませんでした。2年後の不眠の改善についても同様だったということです。

わたしの考えは?

この研究の結果からは、不眠は漫然と睡眠薬を服用しているだけでは治らないということですね。

不眠を治すのには睡眠薬に頼るのではなく、日中の活動性を増やし、運動を促進し、朝日光を30分くらいは浴びるようにして体内時計の調整も行っていくなどの工夫が必要になってきます。

そして何よりもポイントとなるのは、

  • 「不眠は危険だ!」
  • 「不眠はコントロールできない」

という2つの「無意識の思い込み(メタ認知)」を打ち破ることです。

この2つの「無意識の思い込み」を打ち破るために大切なことは、まずこういった思い込みを持っているのだと気づくことです。

「不眠は危険だ!」は難しい!

眠れないと翌日はキツイのは事実です。ですから本能的に不眠は危険だ!というように感じてしまいます。それに実際、不眠が続けば「うつ病」になるリスクが高まったりするということも分かっているのです。また、血圧や糖尿病にも良くない影響を与えます。ストレスにも弱くなるし免疫力も低下する可能性がありますね。

ですから不眠は危険なのです。ただし知っておいて欲しいのは、「長期に渡って不眠が続くのは危険だ!」という点です。週に1〜2日であるとか程度の不眠が年に2〜3回あるくらいでは、健康への大きなデメリットはまずないと言っていいと思います。しかし、眠れなかった翌日のキツさは本能的に不眠は危険だ!という思いを確定させてしまうのです。ですから不眠は危険だという信念を変えることは難しいと思います。

「不眠はコントロールできない」を打破しよう!

不眠は危険だ!という信念を変えるのが難しいなら、変えるべきはコントロールできない!という信念ということになりますね。

不眠はまず100%お薬でコントロールできます。そこで「お薬を使えばコントロールできる」という信念を持てるようにします。不眠の認知行動療法というお薬を使わない方法が最初に行われるべき方法であることは認めるのですが、これを実行し続けられる人は少ないと思っています。まずはお薬で眠れるという安心感を確立することが大切でしょう。

ただし、「お薬を飲めば眠れる」思いが、「お薬を飲まなければ眠れない!」という心理的依存的な無意識の信念に変換されないようにする工夫が必要です。そのためには、2〜4週間ほどお薬で眠れる状態を作ったあと、お薬を10%ほど削って眠れるかどうか2〜3回試してみましょう。眠れないなら元の量に2週間戻した後に、再びお薬を10%ほど削って服用してみるのです。10%減で眠れる状態が2週間続けば、更に10%削りましょう(全体で20%減)。これを繰り返して行きましょう。

やがて、「お薬を飲まなければ眠れない!」という思い込みが消えてしまって、お薬なしで眠れるようになります。睡眠薬を止められない方は是非にも試してみて下さい^ - ^

情報源

Daniel H Solomon et al,Prescription medications for sleep disturbances among midlife women during 2 years of follow-up: a SWAN retrospective cohort study.,Journal BMJ open.2021 05 11;11(5);e045074. doi: 10.1136/bmjopen-2020-045074.

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