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乳癌によくない抗うつ薬があるって本当?

乳癌によくない抗うつ薬があるって本当?

乳癌になった女性も要前うつになることはあります。こんなとき、乳癌で治療している女性のうつに使ってはいけない抗うつ薬ああるのです。タモキシフェンというお薬は、女性ホルモンの働きを抑制して乳癌が大きくなるのを防ぐことができるので、乳癌の治療によく使われています。しかし、このタモキシフェンはある種の抗うつ薬で効果が小さくなってしまうのです。現在、もっとも使われている抗うつ薬であるSSRI(セロトニン選択性再取り込み阻害薬)がそれです。SSRIなどの抗うつ薬の投与で、タモキシフェンの効果が弱められて乳癌の再発や死亡が増えるという研究報告があるようなので記事にしてみました。

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乳癌

 タモキシフェンは代謝酵素によって処理されてはじめて乳癌の増殖を抑制することができるようになるのですけど、SSRIなどの一部の抗うつ薬がこの代謝酵素の働きを妨害するようなのです。

特にその妨害作用が強いのが

  • パロキセチン(先発品名:パキシル)
  • フルオキセチン(日本未発売)

です。

また、比較的影響が少ない抗うつ薬は

  • エスシタロプラム(先発品名:レクサプロ)
  • ベンラファキシン(先発品名:イフェクサー)
  • シタロプラム(日本未発売)

です。

下記の論文では影響の大きな抗うつ薬から影響の少ない抗うつ薬に切り替えることで、乳癌の増殖を抑制する作用のある物質が増えたことが報告されています。

参考文献

L.Binkhorst et al, Augmentation of Endoxifen Exposure in Tamoxifen-Treated Women Following SSRI Switch.,Clinical Pharmacokinetics. 2016; 55: 249-255.

私見

乳癌になって手術後、タモキシフェンを使用している方が当院にも何人かいらっしゃいます。私自身はパロキセチンをあまり処方しない方なので、タモキシフェンを使用している方にパロキセチンを投与してはおりませんが、今後、意識して使わないように心せねばなりません。肝に銘じておきます。

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