治療抵抗性うつ病に一番効果のあるお薬は?
治療抵抗性うつ病に一番効果のあるお薬は?
うつ病の治療に反応しないうつ病の人に、うつ病治療のアルゴリズムに従って、抗うつ薬を増やすより、ある種の薬剤を補強する方が良い結果が得られるとの報告がありましたけど、治療抵抗性うつ病についての補強的薬物療法の文献的研究がイタリアで行われ、次のような結果が得られました。
- アリピプラゾール(非定型抗精神病薬)が最も有効性が高い
- オランザピン・クエチアピン・リスペリドン・cariprazine・ziprasidone(いずれも非定型抗精神病薬)は有効だが効果は低い
- ブレクスピプラゾール(ビプレッソ)・esketamine点鼻薬(麻酔薬ケタミン誘導体)は研究不足で今後の検討が必要
- ケタミン(麻酔薬)静脈内投与は短期的効果があった
- 抗てんかん薬・神経刺激薬・プラミペキソール(パーキンソン病の薬)・ロピニロール(パーキンソン病の薬)・アスピリン(痛み止め)・メチラポン(ステロイドホルモン合成阻害薬)・レセルピン(高血圧の薬)・テストステロン(男性ホルモン)・T3/T4(甲状腺ホルモン)・naltrexone(薬物依存の薬)・SAM-e(スマートドラッグ)・亜鉛は研究不足で判定不能
- ラモトリギン(てんかんの薬)・ピンドロール(高血圧の薬)の効果は否定的
私見
これは臨床経験にほぼ一致する結果です。ただ、リチウムはそこまで効果があるとは思えませんけど。その上、うつ病に保険適応もありません。アリピプラゾールは確かに有効性が高い印象です。太らないアリピプラゾールというような宣伝(MR談)とは裏腹に、ブレクスピプラゾールは治療抵抗性うつ病にはあまり効果が得られない印象です。やはり治療抵抗性うつ病にはアリピプラザールでの補強一択という印象です。ただし、アリピプラゾールは太るのですが・・・
参考文献
Alice Caldiroli et al,Augmentative Pharmacological Strategies in Treatment-Resistant Major Depression: A Comprehensive Review.,International journal of molecular sciences. 2021 Dec 02;22(23); pii: 13070.