新型コロナウイルスに感染している人もワクチンは効果がある!
新型コロナウイルスに感染している人もワクチンは効果がある!
一旦、新型コロナウイルスに感染すれば、「もうワクチンを接種する必要はないのか?」という疑問に答える研究が発表されたので紹介します。
結論は、新型コロナウイルスに既に感染した人にワクチンを接種しても、さらなる感染予防効果は得られないけど、症状が発現しなくなる効果や入院に至る症状の悪化を防ぐ効果はある、というものです。感染してからでもワクチンは接種する価値があるということのようです。
(Cleveland Clinic[米国]の研究)
感染を防止する効果について
5万2,238人について、新型コロナウイルスの「ワクチン未接種者」「ワクチン接種者」「既感染者」に分けて分析したところ、オミクロンの前後(数値は後者がオミクロン後)にかかわらず、「感染の累積発生率(感染や再感染)」 は
- 「ワクチン接種者かつ未感染者」で74〜52%低下していた。
- 「既感染者かつワクチン未接種」で有意な低下は認められなかった。
ワクチンは新型コロナウイルスに感染するリスクを減らすことができるということです。
発症を防止する効果について
発症する(感染して症状が現れる)リスクは、
- 「ワクチン接種者かつ未感染者」で76〜78%低下していた。
- 「既感染者かつワクチン未接種」で40〜64%低下していた。
ワクチンは新型コロナウイルスに感染しても発症するリスクを減らすことができるということです。
新型コロナウイルス感染での入院を防止する効果について
「入院の累積発生率」は「ワクチン未接種者」が「既感染者(ワクチン未摂取)」「ワクチン接種者」「既感染者(ワクチン接種)」それぞれより明らかに多いことが分かりました。ワクチンを接種するか新型コロナウイルスに感染することで、免疫が強化され新型コロナウイルスに感染or再感染しても、入院に至る症状の悪化リスクを減らすことができるということですね。
感染後の免疫効果の持続期間
新型コロナウイルスに感染後に得られる免疫は、オミクロン前には1年ほど有効であることが明らかとなっているが、オミクロン株に対しては今後の研究の結果を待たなければならないとのことです。
論文の考察部分からの知見と私見
現在までに分かっていることは、
- 新型コロナウイルスに感染することとワクチン接種は同程度に感染予防効果がある。
- イスラエルの研究では、新型コロナウイルスに感染すると、ワクチンを接種しなくても感染したことのない人にワクチン接種するよりも、症状が現れるリスクや入院に至るリスクを有意に下げる。
- クリーブランドクリニックの研究では5.5ヶ月の観察期間に限定すると、既に新型コロナウイルスに感染した人にワクチンを接種しても予防効果を増幅することはできなかった。
- インドの研究では、45日以上という条件で、新型コロナウイルスに感染した人にワクチンを接種しても追加の予防効果はなかった。
- 感染後の免疫力は時間とともに弱まっていく。
- イスラエルの研究では、既感染者の新型コロナウイルスへの再感染リスクは、ワクチンを接種しない場合、感染したことがない人にワクチンを接種してから0から2ヶ月後の状態と同程度である。
論文の考察にもあるように、既感染者の感染数ヶ月後まではワクチンを接種しても再感染防止効果の増強は見込めないけれど、数ヶ月後以降は、ワクチン接種により発症を予防することが防止することができるので、新型コロナウイルスに感染した人もワクチンを接種する方がいいということですね。ただし、感染後間もない場合は副反応が強くでる可能性があり、厚生労働省は少なくとも3ヶ月は期間を空けるように推奨しています。
情報源
Nabin K Shrestha et al, Necessity of COVID-19 Vaccination in Persons Who Have Already Had COVID-19.
Journal. Clinical infectious diseases : an official publication of the Infectious Diseases Society of America. 2022 Jan 13; pii: ciac022.( https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciac022/6507165?login=false )