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なぜ女性は生理前や妊娠し始めに眠くなるのでしょうか?

なぜ女性は生理前や妊娠し始めに眠くなるのでしょうか?

妊娠初期だけではなく生理前に眠気を訴える女性も多いといいます。これらの眠気はいったい何が関係しているのでしょうか?調べてみると、それはどうやら女性ホルモンが関係しているようなのです。以下に、調べた内容をまとめてみました。興味ある方はご一読ください。

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眠気

これは個人的な経験ですが、私が関西から福岡に転居するため、細々とした荷物を妻と私の車に積んで福岡に向かっている最中のことでした。妻が運転中に異常に眠くて睡魔と闘いながら運転しているというのです。仕方なく頻繁に休憩を取りながら運転を続けることになりました。後日、妻が妊娠していることが分かったのです。

生理前や生理中、妊娠初期に眠気が増して過眠となる女性が多い!

ある調査によれば、女性の41%に生理周期に関連した睡眠異常を自覚しているといいます。これらの睡眠異常のうち51%は月経時の過眠であり43%が月経前の過眠でした。

その他は、過眠とは逆に不眠であり、月経時の不眠が5%で月経前の不眠が1%あったとのこと。圧倒的に過眠が多いですね。生理周期に関連して女性は眠くなるというのが一般的なようです。

この調査には妊娠に関するものはありませんでしたが、妊娠初期に睡眠不足でもないのに日中の眠気がひどくなるという話はよく耳にすることですね。

妊娠や生理に関連した眠気は女性ホルモンが関係する?

生理にしても妊娠にしても、共通する要素はホルモンの変化でしょう。生理はエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンによってコントロールされています。

エストロゲンは生理の終了から排卵までの間に分泌が増え、プロゲステロンは排卵後(生理前)から生理中までの期間に多く分泌されます。つまり、プロゲステロンが増えている間に眠気が増強し過眠が生じるということですね。では、プロゲステロンが多く分泌されるとなぜ眠気が増すのでしょうか?

プロゲステロンは天然の安定剤?

実は、プロゲステロンは眠気を誘発するGABA(ギャバ)という安定剤のような脳内物質と同様の働きをして眠気を強めるのです。正確にはプロゲステロンの代謝産物(allopregnanolone)が、安定剤と同様に眠気をもよおす作用や不安を和らげる作用、けいれんを抑える作用があるのです。

ヒトにプロゲステロンを投与した研究で、allopregnanoloneの血中濃度が高くなるにつれて安定剤(ベンゾジアゼビン)とほぼ同じよううな睡眠脳波が生じるということが観察されたという報告もあるように、生理前と生理中の眠気は、このようなプロゲステロンの作用により生じる可能性があるということです。

さらに健常女性の黄体期に睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が増加するという報告もあるので、これも眠気の原意となっているかも知れません。

眠気はホルモンだけが原因ではない!

生理前(排卵)から黄体期にかけては体温が上がります。眠気は深部体温の低下とともに生じてくるので、生理前の体温の高い状態だと寝つきが悪くなったり睡眠の途中で目が覚めてしまうリスクが高くなるのです。つまり、睡眠不足となって日中の眠気が強くなってしまいます。

これに加え、生理前(排卵)から黄体期は最低体温と最高体温のいずれもが上昇し、睡眠時間帯が遅い方にずれやすくなり、夜更かしてしまいがちになるうえ睡眠も浅くなって、結果として睡眠不足が生じ眠気が生じるということも生じるのです。

情報源

  • 石束嘉和:女性の睡眠の問題,眠りのバイオロジー,LiSA増刊,15-17,1998.
  • 渋井佳,女性の睡眠とホルモン,バイオメカニズム学会誌.Vol.29, No.4,2005.
  • Goonaratna,C.,Fonseka,P.,and Wijeywardene, K.:Perimenopausal symptoms in Lankan women, Ceylon Med J,44,63-69,1999.

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