寝る前のスマホは悪くない!…?????PRESIDENT Onlineの記事に一言
寝る前のスマホは悪くない!…?????PRESIDENT Onlineの記事に一言
「枕元にスマホ」は絶対NG、高級寝具は必要ない…最新研究が明らかにした「寝ても疲れが取れない」本当の理由【2025年5月BEST】
(https://president.jp/articles/-/96646?page=1#)
という記事を読んで違和感を感じました。というのも、筑波大学教授の柳沢正史氏が、あるテレビ番組でスマホの光量程度では睡眠に影響はしない。スマホのブルーライトよりも、スマホで見る内容に夢中になったり情緒が刺激され脳が覚醒反応を起こすことが、睡眠を妨げる要因であると述べていたからです。
記事には以下のような記載がありました。
『スマホにかぎらず、明るい光は眠りの妨さまたげとなります。ただスマホやタブレット、PCの場合、ブルーライトが出ることでより深刻な問題を招きます。光をとらえる網膜もうまくの神経細胞は、400~500nmの波長を含む青色光にとりわけ敏感だからです。』
これは納得かつ現在では常識ですね。
しかし、気になったのは次の記載です。
『夕方に2時間程度の光を浴びただけで、平均1.1時間もリズムが遅れることがわかっています(Pham HT et al., 2021)。』
この論文は無料公開されているので読んでみたところ、スマホ使用時のスマホの光量を暗めに調整してもしなくても、睡眠への悪影響に変わりはなかった一方で、スマホをベッド内や枕の下に置いた学生(調査対象が学生)より、ベッドから5メートル以上離しておいて寝た学生の方が睡眠の質が良かったと研究結果となっていました。
よく考えて下さい。「枕の下に置いたスマホは部屋の明るさに影響を与えません!」この論文を根拠にしてスマホの光と睡眠の質の悪化を結びつけるのは早計でしょう!やはりスマホのブルーライトよりもスマホで見る内容からの影響の方が大きいのではないかという疑問が湧いてきます。それに、スマホをベッド内とか枕の下に置く学生は、眠る直前までスマホを使用していた可能性が高く、スマホの使用時間も長いことが想定されます。スマホの寝る前の使用時間が長かった学生は睡眠の質の低下が顕著であったとの結果でした。なお、上記の論文ではスマホの使用時間を調査(といってもアンケート調査ですが)して分析していますが、スマホで見る内容については調査していません。
もう一点、睡眠障害の認知行動療法の観点から気になったのは、
『寝るときに何かを読みたいなら、紙の本が最善です。』
という記事です。紙の本が睡眠に与える悪影響が少なかったとの報告を引用しての記述ですが、睡眠障害の認知行動療法では、ベッドの中では◯◯と寝ること以外はしない!という原則があります(注:◯◯とは生殖活動のことです)。本もベッドの中では読まない方がよいと思うのですが。柳沢教授の言うようにスマホの光はそれほど問題ではなく脳を興奮させるような内容が問題であるのなら、本をどうしても読みたいなら脳を興奮させるのめり込む内容のものは読まないことですね。
その他の記事の記載は素晴らしいものでしたので、あえて気になった点を記事にしてみました。