dokusyo/2016-03-05
「認知行動療法の科学と実践」
D.M.クラークら著。
認知行動療法の発展の紹介は、
治療に関わる者にとって、非常に興味深い。
認知行動療法における行動実験とは…
当に論より証拠!
ということに尽きるであろうか?
これなくして治療効果はあり得ないような印象を受けた。
認知の再構成に偏重した紹介をされている日本の治療は如何なものかと、考え直す機会となる?
そういう印象を持つのは私の勉強不足か。
認知行動療法が優れているのは、
明確な科学的基盤があるからであるという。
病気の成り立ちを、
?:不明の何か
↓
ネガティヴな捉え方(認知)
↓
自己注目↑による自己モニタリング↑
+
身体的反応
+
心理的反応
- 役に立たない対処行動
↓
ネガティヴな捉え方(認知)↑
↓
・
・
・
↓
悪循環
であると考えて、解釈の仕方を正常化していくのが認知行動療法か?
論より証拠というためには、行動実験が重要となる。
疾患それぞれに多少の差異はある。
①パニック障害→身体感覚の過剰認知
②社会不安障害→事後の悔み(post-mortem)
③全般性不安障害→メタ心配
④強迫性障害→過剰責任と中和行動
⑤摂食障害→自己価値を体重と体型及び体重コントロールで判断(体重=人生)
⑥うつ病→自己・世界・未来という3領域への陰性の認知の歪み
⑦心気症→身体兆候への誤解釈
各疾患の具体的技法は各領域の成書を読む必要はありますが、
概説として頭の整理には非常に役立つ興味深い内容です。
ただし、専門家向け。
特にメタ認知療法については予備知識がないと、
何を言っているのかほとんど理解できないかもしれません。
ただし、患者さんには役に立たないと思いますが…