抗うつ薬は本当に効果があるのか?
抗うつ薬は本当に効果があるのか?
うつ病になった直後に治療された場合に限定すると、抗うつ薬の実薬もプラセボ(偽薬)も、両方ともにうつ病を治す効果のあることが分かったという報告があったので紹介します。米国食品医薬品局(FDA)の研究です。
FDAに提出された治験データを治験参加者の個人別データ7万3,388例分を解析したところ、
- 抗うつ薬の実薬も偽薬もともに大幅なうつ症状が改善する
- 偽薬の効果を超える抗うつ効果があったのは約15%である
というような可能性があることが示されたといいます。
少し詳しいデータを示すと
- 大いに改善する割合
- 実薬 24.5%
- 偽薬 9.6%
- 実薬の有効性は偽薬の3.07倍
- ほとんど or 全く改善がない割合
- 実薬 12.2%
- 偽薬 21.5%、
- 実薬が効果がないリスクは偽薬の0.51倍
- 不十分な改善の割合
- 実薬 63.3%
- 偽薬 68.9%
であったとのこと。
なお、抗うつ薬の実薬と偽薬の効果の差は
- 治療開始時の重症度が増すほど実薬の効果が高い
ということも分かったそうです。また、特別な統計学的な計算から、実薬は偽薬より統計学的に有意に有効であると判定されたとのことです。
私見
抗うつ薬が約25%の人にしか十分な効果のないことが分かったという、以前の米国の大規模研究で、抗うつ薬は重度のうつ病にしか効果が期待できないという報告を裏付けるような研究報告ですね。うつ病などの人に抗うつ薬を使う割合は、私のところでは約1/6〜1/10くらいの人に対してでしょうか。意外と漢方薬や漢方薬プラス極少量の抗不安薬もしくは睡眠促進約(依存性なし)で改善される方が多いです。ただし、1番のお薬は「ストレス環境の改善」につきますけど。
情報源
Marc B Stone et al, Response to acute monotherapy for major depressive disorder in randomized, placebo controlled trials submitted to the US Food and Drug Administration: individual participant data analysis.,BMJ (Clinical research ed.). 2022 08 02;378;e067606. doi: 10.1136/bmj-2021-067606.