ついに、うつ病も検査でわかるようになった?
ついに、うつ病も検査でわかるようになった?
Tag: うつ病 光トポグラフィー
光トポグラフィーのお話です。
光トポグラフィー検査は、うつ病など心の病気を客観的診断する検査として、2009年に精神医療分野で初めて先進医療の承認を受けました。
近赤外線という光を使った検査で、銀行のATMの手のひらや指の静脈認証などにも使われている技術です。
血液中のモグロビン濃度を測定でき、大脳皮質の血流の状態を波形として表します。
光トポグラフィー波形の変化は、うつ病、躁うつ病、統合失調症といった疾患により、独自のパターンがあることがわかっており、うつ病などの診断の助けになるのです。
さらに、うつ病と躁うつ病を鑑別したりもできる可能性があります。
国立精神・神経医療研究センターのデータでは、約200例で、躁うつ病が8~9割、うつ病が7~8割の診断精度にあるようです。
国立精神・神経医療研究センター、群馬大学医学部附属病院、東京大学医学部附属病院、近畿大学医学部附属病院など、全国に12施設で検査を受けられるとのことですが、この検査を受けるには、主治医の紹介状が必要です。
しかし、うつ病とストレス性のうつ状態を鑑別できる訳ではないようです。
最近はやりの新型うつ病も鑑別できるのでしょうか?
そういったデータは公表されていません。
うつ病に限定した場合、光トポグラフィーで「うつ病」と診断されても、臨床的にうつ病と診断された患者さんとの間で、治療方法に違いがあるわけでもありません。
現状は限界のある検査ですが、今後、症例を増やしていくことで、さらに細かい診断ができるようになることが期待されます。
近い将来、うつ病をはじめとする心の病気が、客観的に診断できるような時代が来るのでしょね。
そんな時代がくるまでは、私たち精神科医は、臨床感覚を研ぎすませていくことに精進せねばなりません。