うつ病治療の効果が血液検査でわかる?
2011.09.03
カテゴリ:ブログ
うつ病治療の効果が血液検査でわかる?
Tag: うつ病 血液検査 BDNF
報告者:公徳会佐藤病院(山形県)栗田征武
脳由来神経栄養因子BDNFとは、中枢神経細胞を再生する働きのある脳で作られる蛋白質で、血漿中に存在する血漿BDNFと、血小板から放出されたものも含めた血清BDNFがあります。
症状が中等度以上で、大うつ病エピソードと診断された79人について、血漿BDNFを測定(以下BDNFは血漿BDNF) し、うつ症状評価尺度(MADRS)の変化を検討したという研究です。
症状が最悪のとき、症状が半分に軽減したとき、症状がほぼなくなったときを比較し、症状の軽減に伴って、MADRSのスコアは減少し、BDNFは増えたという結果が得られました。
さらに、症状が改善しなかった群は、MADRSの変化はなく、BDNFは減少したというのです。
2000年代以降、BDNFはうつ病で減少し、うつ病治療でBDNFが上昇するとも報告されています。
今回の報告は、こられの報告と合致するもので、うつ病治療の反応性の有無をBDNFから判断できる可能性が示唆されたことになります。
客観的治療指標が確立されれば、うつ病の治療に大きな進展がもたらされる可能性があります。
早期の実用化を期待したいものです。