抗うつ薬が自殺を増やす?
抗うつ薬が自殺を増やす?
Tag: うつ病 自殺 抗うつ薬
抗うつが自殺を増やす原因であるかのような書き込みや記事が、ネットニュースやブログなどの中で、最近、目だっています。
1998年頃を境に、自殺者の急増、抗うつ薬の売り上げ急進、うつ病患者の増加が観察されました。
1997年まで、年間の自殺者数が約2万~2万5000人であったものが、1998年のそれは、3万2863人に急増し、以後、毎年3万人を超えています。
また、1998年頃から抗うつ薬の売り上げが急伸、1998年に173億円だった抗うつ薬の売り上げは年々増え続け、2006年には875億円と5倍以上までに脹れあがています。
うつ病をはじめとする気分障害患者数は、1999年の約44万人から、2008年には100万人超と、2倍以上に増加しています。
これらのデータから、一部の人々は、抗うつ薬投与により自殺が増えているとほのめかしています。
抗うつ薬を投与する必要ない「超」軽症うつ状態の患者さんを「うつ病」として抗うつ薬を投与し、抗うつ薬の刺激症状で自殺が増えたというような論理を構築しているのでしょうか。
それとも、軽症うつ病、新型うつ病など、抗うつ薬の効きにくい病態の患者さんに、薬以外の治療を十分せず、改善がないからといって抗うつ薬を増量していくというような薬物療法至上主義から、大量投与された抗うつ薬が自殺を増やす結果となっているのでしょうか。
心の中で何が生じ、それがどんな状況から生じてこうなったのか、それは対処可能か、可能ならどんな対処法があるか、対処不能ならどうやってダメージを最小限にすることができるか等々を丹念に探っていけば、それほどお薬が増えていくことも自殺に至ることもないように思うのですが。