躁うつ病はミトコンドリア障害?
躁うつ病はミトコンドリア障害?
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マウスの脳神経細胞にミトコンドリア機能障害を生じさせたところ、躁うつ病とよく似た行動が観察されたというのです。
独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)が発表したものです。
躁うつ病の原因は、遺伝的な体質のためにセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の異常であると考えられていますが、明確なメカニズムは分かっていないのが現状です。
現在まで、躁うつ病の患者にミトコンドリア機能障害が見られること、ミトコンドリア病に躁うつ病を伴うことがあることなどが知られていました。
そこで、ミトコンドリアに機能障害を引き起こしたマウス作成して行動を解析しました。
その結果、このマウスは、夜行性の動物であるにもかかわらず、明るくなってもしばらく動き続け、暗くなる前に早くも動き始めることが観察されました。
これは、躁うつ病患者の短眠過活動によく似ています。
また、通常のマウスでは見られない、性周期に伴った著しい行動量の変化も出現しました。
これは躁うつ病患者の躁状態とうつ状態という気分の波に似ています。
これらの行動は、リチウムの投与により改善し、三環系抗うつ薬投与によって顕著になりました。
以上の結果は、ミトコンドリア機能障害と躁うつ病の関連を示唆するものと考えられるというのです。
さらに躁うつ病の原因の究明が進めば、躁うつ病の新薬開発につながる研究といえるでしょう。
米国の学術雑誌Molecular Psychiatryオンライン版に掲載。