つぶやき一行/2020-07-13
Tag: 社会学
若者の車離れ:その真実は?
ソニー損保(ソニー損害保険株式会社)が新成人(1999年4月2日?2000年4月1日生まれ)1000人にインターネットで「2020年新成人のカーライフ意識調査(2019年11月8日?11月15日)」を行いました。
https://from.sonysonpo.co.jp/topics/pr/2020/01/20200107_01.html
その調査によれば、新成人に関する限りは、車に興味関心を無くしているのではないということが分かったのです。
ではナゼ若者の車離れが進んでいるといわれるのでしょうか?その理由を考えてみたいと思います。
免許の保有率は低くはない!
6割近い人が運転免許を持っていました。
これから自動車学校に通って免許を取る人もいるでしょうから、運転に興味がある人はまあまあ多いと言える調査結果ではないでしょうか。
ただ、調査対象が新成人であるため、車を所有している人は運転免許保有者の1/4ほどとで、全体の約15%と多くはありませんでした。
若者は本当に車に興味がない、つまり車離れしているのでしょか?
若者は車に関心がないわけではない!欲しい車10選からみた結論
車を持つことに肯定的な650名を対象に欲しい車を答えてもらったところ、男女どちらも比較的安価なハイブリッド車である「トヨタのアクア」が1位で、電気自動車の設定もある日産のノートが2位でした。
燃費も良くて比較的安い小型車が1位2位というのは、若者も意外とエコで現実的ということでしょうか。
そこで将来いつかは乗ってみたい車をあげてもらったところ、買いたい車とは正反対に高級車揃いでした。
新成人が憧れる車10選
男性
- メルセデスベンツ(言わずと知れた高級車の代名詞)
- GT-R(日本を代表する超高性能車)
- レクサス(日本の高級車)
- フェラーリ(成功者の証!超高額スパーカー)
- BMW(ベンツに並ぶ高級車)
- ポルシェ(スポーツカーの代名詞!高級高性能車)
- ランボルギーニ(フェラーリと並ぶ超高額なスーパーカー)
- アウディ(そこそこ高級なドイツ車)
- アクア(お手頃ハイブリッド)
- アルファード(ワンボックスの高級車)
女性
- ノート(エコな大衆車)
- プリウス(ハイブリッドの代表車)
- アクア(お手頃なハイブリッド車)
- フォルクスワーゲン(質実剛健な大衆車だが日本ではチョット高額)
- レクサス(日本の高級車)
- BMW(ベンツに並ぶ高級車)
- メルセデスベンツ(言わずと知れた高級車の代名詞)
- キューブ(スペース効率に優れたファミリーカー)
- ポルシェ(スポーツカーの代名詞!高級高性能車)
- N−BOX(スペースユーティティー抜群!1人車中泊に最適の軽自動車)
男性は「高級」「高性能」「夢」という心理的要素が感じられますね。
一方、女性は、「夢よりも可愛さ」「高性能より高級感覚」「性能より運転しやすさ」等という要素を強く感じます。
以上のアンケート結果を見るかぎり、若者も車に憧れや興味関心を失っている訳ではないことが伺われますね。
ではナゼ、若者の車離れが生じるのでしょうか。
若者が車離れのワケ:若者が車を持たない理由とは?
結論から言えば「持たない」ではなく「持てない」ということです。
アンケートから分かった車を持たない3大理由
- 第1位:「購入費用を負担に感じる(50.9%)」
- 第2位:「燃料代や修理費など維持費がかかる(33.8%)」
- 第3位:「車以外の移動手段が充実しており車に乗る必要性がない(31.1%)」
車の値段や維持費が車を持たない理由を挙げた人が上位を占めています。
欲しい車のアンケート結果からわかるように、本当に憧れる車は数百万円から数千万円もするものも多いのです。
若者でなくても買えません!
維持費だってガソリン代だけではありません。
自宅の駐車場の月極駐車場代、任意保険の保険料、自動車税、、重量税、自賠責保険料、洗車やワックスなどの外装メインテナンスの費用、車検代に定期点検の費用、高速料金、外出先の駐車場代などなど色々とお金がかかります。
また、別のアンケートでは「車を所有する経済的な余裕がない」と答えた新成人は60%以上もいました。
さらに、車にかけられるお金が1万円以下という人が半分以上おり、最も多いのが5000円以下で約4割強、そのうち0円という人も12%少々いました。
若者は経済的に車を持つことが難しいというのが現実のようですね。
車は意外と不便?
車で外出するときに困ることには以下のようなものがあります。
- 渋滞
- 駐車場探し
- 駐車場の料金
- お酒が飲めない
- 任意保険の手続き
- 運転以外の作業が困難
これらは特に都心部で顕著ですね。
目的地に着くまでの渋滞はもっとも困るものでしょう。私の友人は、練馬区の自宅から夏の湘南にたどり着くまでに8時間かかったと嘆いていました。
駐車場探しも問題です。私の個人的経験ですが、神戸三宮で駐車場に入れるまで1時間ほど待ったことがありました。
電車で行けば運賃はかかりますが、行った先での駐車料金はかかりません。それにたいていの場合、電車の運賃は車のガソリン代と駐車料金より安いもの
です。
車で出かけるとドライバーの人はお酒が飲めないのも不便です。例えばワイナリーとか酒蔵に行っても試飲できないですよね。楽しさ半減以上!
任意保険の手続きも面倒です。ネットで保険を更新できますが現在の走行距離を入力しないといけないので、オドメーターの数字をメモしておかなければなりません。これって、結構メンドウで忘れてしまいます。
運転しているとスマホの画面を見ずに、メモを取ることも(Evernoteでは可能)、メールをチェックすることも(着信メールを表示できますが読み上げてはくれません)、メールに返信することも(着信した個別のメールを開いていれば返信できます)、サイトを更新することもできません。
電車やバスならこれらの作業を移動中にスマホで簡単に行うことができます。通勤時間で結構、お仕事を小なることができるのです。
電車やバスの方が圧倒的に便利です。
もっとも、電車やバスの時刻に合わせたり、駅からまた目的地まで他の公共交通機関に乗り継いだり、必ずしも座れるとは限らないなど不便なところは電車にもたくさんありますけど・・・
若者の価値観とかライフスタイルの変化
若者が車離れした理由は財力の問題だけではありません。
若者の価値観とかライフスタイルの変化が、車の相対的魅力を減らしているのでしょう。
若者に限らず、いま魅力を感じる内容がモノからコトつまり体験へのシフトが生じています。
欲しいもの買わず、食べたいものも食べず、行きたいところにも行かず、友達との飲み会も控えてetc.etc.、苦しい思いをしてお金を貯めて車を買おうと思うほどには車への恋愛度が高くなくはなっているのかも知れません。
私(60代)たちが車に乗ろうと意識する20代前半頃には、インターネットも普及していないしスマホどころか携帯電話さえありませんでした。当然、フェイスブックとかラインなどのSNSもありませんし、ユーチューブやインスタグラムなどのサービスもありません。
自分の存在を確かなものにする手段は、いくらでもあって車で自分の存在を表現する必要性が少なくなっているのです。
また、ミニマリストではないですが、モノを所有することに価値を見出さないライフスタイルも若者に広がっているのかも知れません。
車がステイタスであったり自己表現の手段(自己顕示欲を満たすもの?)であった時代は、今は昔ということでしょうか。
まとめ
ソニー損保の調査結果から、若者の車離れの本質は、欲しくなるような車を買ったり、車の維持費を賄い続ける財力がないということのようでした。
それだけではなく、若者の価値観の変化が車への恋愛度が低下していることが若者の車離れを引き起こしているということですね。