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つぶやき一行/2021-06-13

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Tag: 今日の「へーっ」

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母親の不安が乳児に悪影響?

現在の状態で母親が不安であると、乳児が幸せそうな顔の映像を見ているときに増幅する脳波が減弱するだけではなく、怯え(おびえ)た顔を見ているときに増幅する脳波がより増えることが分かりました。

調査されたのは生後5、7、12カ月の乳児と母親の142組です。the Spielberger State-Trait Anxiety Inventory (Trait form)という評価尺度で母親の現状での不安強度を測定しました。乳児の脳波は、正確には脳波ではなく脳波により測定される事象関連電位(ERP)というものについて見たものです。乳児に見せたのは女性の幸せそうな顔と怯えている顔、そして、怒っている顔でした。見せるというより見えるようにしたということのようです。

ちなみに事象関連電位とは、内的あるいは外的な刺激によって誘発される事象(喜びや嫌悪などの感情や思考など)に対して同時に生じる、ある事象に特徴的な電気生理学的な脳の反応のことで、脳波によって測定されます。

私の解釈

この研究の結果が示すのは、
「母の不安×幸せそうな顔→幸せの認識の減弱」
「母の不安×怯えている顔→怯えの認識の増強」
「母の不安×怒りの表情→怒りの認識に影響なし」
ということだと思います。この現象には生存のために有利な作用を及ぼしていることの現れだと考えています。

「幸せ」の認識について

幸せな感覚
 ↓
周囲の重要な人の不安
 ↓
自分の幸福感を低める
 ↓
幸福に浸ることから周囲を不安にしているものへの心的戦闘態勢を整える
 ↓
早く準備できるので生存確率が高まる

「怯え」の認識について

怯えの感覚
 ↓
周囲の重要な人の不安
 ↓
自分にも危険が迫っているとの無意識の認識を高め怯えが強まる
 ↓
危険に早く気づくことで危険なものへの心的戦闘態勢を整える
 ↓
早く準備できるので生存確率が高まる

「怒り」の認識が影響を受けない理由

怒り
 ↓
本来、自分に危険が近づいているときに感じるもの
 ↓
すでに準備できるので生存確率が高まる状態になっている
 ↓
漠然と敵が来ている認識ができているので対象がはっきりしない怒りを増幅させる必要がない
 ↓
敵が目の前にいないのに早く怒りを増幅させてしまえば生理的に疲れてしまう
 ↓
いざ敵が現れたとき疲れ切ってしまっていては戦闘能力が低下し生存確率が低まる
 ↓
よって怒り怒りの認識の増強しない

このような意味があるのじゃないかな?

参考文献

Lindsay C Bowman et al.Infants' neural responses to emotional faces are related to maternal anxiety,J Child Psychol Psychiatry. 2021.

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