最新医学の情報乱れ読み/2012-03-19
Tag: PTSD
降圧剤「プラゾシン」にPTSDの悪夢改善作用
- 一般に血圧を下げる薬として使用されているプラゾシン(prazosin)に、脳神経の損傷を防ぎ、PTSDに伴う悪夢を解消する作用があることが報告されている。
アメリカの有名な総合病院メイヨークリニックの研究者らが、第20回ヨーロッパ精神医学学会で、過去に報告された12の研究を総括して効果は確かそうだと発表した。
2007年にアメリカ・ワシントン大学の研究者は、ベトナム戦争に行きPTSDの症状を患っている退役軍人40人に対して行った治療実験を志向し、効果は数日~数週間のうちに迅速に現れること、薬を飲むのを止めると何人かの患者では悪夢が再発することを報告。
プラゾシンは神経細胞にあるα1アドレナリン受容体の作用を阻害。
PTSDにより起きる夜間の悪夢などの症状は脳神経のα1アドレナリン受容体の過剰作用が原因と考えられ、プラゾシンはこの過剰作用を防ぐことで治療効果を発揮していると考察。
プラゾシンを作用させた脳神経は、脳神経がダメージを受けた時の指標となるHSP70というタンパク質を減らすことも報告されており、PTSDに伴う悪夢の他にも、アルツハイマー、うつ病、総合失調症による脳の損傷を予防する効果がある可能性が考えられている。
Reduction of nightmares and other PTSD symptoms in combat veterans by prazosin: a placebo-controlled study.Am J Psychiatry.
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