最新医学の情報乱れ読み/2012-03-25
Tag: PTSD
なぜ、心的外傷を受けた人の全員がPTSDを発症しないのか?
- 強い心的外傷を体験した人のうち心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症するのはごく一部である。
ことから、PTSDにいたる脆弱性には特定の要因が関与している可能性がある。
Mehtaらによる研究は、成人期に心的外傷を1回以上体験したことがある209例の70%がPTSDを発症。
分子遺伝子学的な検討。
FKBP5がコードする蛋白はGRシャペロン補助因子(co-chaperone)であり、視床下部―下垂体―副腎(HPA)系の負のフィードバック調節に関与している。
PTSD患者において、小児期と成人期の心的外傷およびうつ症状で補正。
GR感受性の増大(デキサメタゾン抑制試験で評価)との関連が強いのはGGホモ接合体よりもアレルA(AA/AG)保有者であり、GGホモ接合体ではベースラインの血清中コルチゾール値が低かった。
PTSDの有無あるいは遺伝子型ではデキサメタゾン抑制試験の結果(コルチゾール低下)を予測できなかった。
しかしながら、GRの調節にかかわっている別の41遺伝子(32個はこれまでに報告されていない遺伝子)を研究者らは特定。
このうち19遺伝子はPTSDにおいてFKBP5によるHPA系活性化の調節に関連しているネットワークを形成していると推測されている。
Mercerらが報告した研究は、心的外傷体験、社会的支援、性的な被害に関する調査に参加した北イリノイ大学の女子大学生204例(平均年齢20歳)を対象。
単独犯がキャンパス内で26人を死傷させた銃撃事件の発生後に2回の追跡調査を実施。
セロトニントランスポーター遺伝子領域上の3座位について遺伝子型が解析された。
銃撃事件後のPTSD症状のスコア高値(とくに回避症状)および銃撃事件後の急性ストレス障害は、セロトニントランスポーター発現を抑制するマルチマーカー遺伝子型と関連していた。
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