最新医学の情報乱れ読み/2012-04-15
Tag: アストロサイト
神経細胞内“決壊”で認知症に?
- 理化学研究所は、脳内に存在する星型の突起を持つ細胞アストロサイト(星状細胞)の細胞体と、そこから伸びる突起との間に「仕切り」があり、このため各々の突起が細胞体とは独立してシグナルを発生できるという新たな概念を発表。
アストロサイトは、その突起で神経細胞を互いにつなぐシナプスを覆ったり、血管を巻きついたりするグリア細胞の一種。
1つの細胞体から伸びる複数の突起により、Ca2+濃度の上昇によるCa2+シグナルを介して神経伝達と血管収縮を調節。
Ca2+シグナルを発生させる代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)の分布に注目。
mGluRは突起部分の細胞膜に多く存在し、膜上を自由に動いていた。
しかし、突起と細胞体の間は自由に移動できないことを発見。
突起と細胞体の間に拡散障壁という「仕切り」を設け、突起部分にmGluR を集中させる仕組みがあると想定。
人為的にmGluRが突起と細胞体の間を行き来できるようにすると、mGluRはアストロサイトの細胞膜全体に均一に分布し、通常ではCa2+シグナルを出さない細胞体もシグナルを出すようになった。
アルツハイマー病やてんかんなどの脳疾患では、複数のアストロサイト間を横断するCa2+シグナルや、細胞体で頻繁に出されるCa2+シグナルが観察されている。
これらの脳疾患ではアストロサイトの「仕切り」がいわば“決壊”して機能しなくなることで、複数の突起の働きが同調して症状を悪化させていると考察。
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