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最新医学の情報乱れ読み/2012-04-19

Tag: 運動

筋トレが先か?有酸素運動が先か?

  • レジスタンス運動先行を支持する結果が得られた。

その運動療法においては,有酸素運動とレジスタンス運動(筋肉トレーニング)が相乗的に効果を発揮することが知られていたが(Ann Intern Med 2007; 147:

357-369),先に有酸素運動をする場合と,先にレジスタンス運動をする場合とで効果に差異があるかどうかは十分には知られていなかった。  

東京大学大学院(総合文化研究科)教授の石井直方氏らのこれまでの研究では,有酸素運動の前にレジスタンス運動をしておくことで,レジスタンス運動を行わない場合よりも有酸素運動中の脂肪燃焼が増加することが知られていたので(Med Sci Sports Exerc 2007; 39:308-315),先にレジスタンス運動をしておいた方が,先に有酸素運動をするよりも(脂肪燃焼が生じやすく,糖質燃焼が生じにくいので)やせやすく,運動中の低血糖を生じにくくさせる可能性が考えられていた。  

今回,まさに有酸素運動とレジスタンス運動の順番を変えた場合の,運動中およびその後の血糖変動を持続血糖モニター(CGM)で検証した研究がDiabetes Care(2012; 35:669-675)に報告され,やはり先にレジスタンス運動を実施しておいた方が低血糖予防によいことが示された。

12人の1型糖尿病患者を対象にしたクロスオーバー試験  本研究はカナダのオタワ大学の研究者が実施したもので,これまでに少なくとも6カ月以上有酸素運動とレジスタンス運動を実施していた12人の1型糖尿病患者が登録された。

被検者はトレッドミル漸増負荷試験によって最高酸素摂取量(VO2 peak)を測定され,筋力についても8-RM(8回の反復が限界となる重さ)を指標に,チェストプレス(大胸筋),レッグプレス(大腿四頭筋,二頭筋,大殿筋),ロウイング(広背筋,菱形筋,僧帽筋),レッグカール(大腿二頭筋),ショルダープレス(三角筋),ラットプルダウン(広背筋)の6種目が記録された。  

患者は試験日の17時から運動セッションを開始した。運動セッションは,有酸素運動先行(有酸素運動を先にしてレジスタンス運動を後からする)の場合と,レジスタンス運動先行(レジスタンス運動を先にして有酸素運動を後からする)の場合の2パターンをつくっておき, 5日以上を空けて2回の運動セッション日を設けた。有酸素運動とレジスタンス運動のメニューと強度は以下の通り。 有酸素運動:VO2 peakの60%の強度のトレッドミル負荷で45分間走る レジスタンス運動:8-RMの負荷で8回の反復動作を3セットずつ6種目,計45分間実施  血糖値の測定は,運動中は5~15分間隔で,静脈内に留置したカテーテルから採血を実施し,運動後については運動セッションの24時間前に皮下に留置した非リアルタイム式のCGMセンサーで皮下間質液中の値を記録した。

レジスタンス運動先行方が血糖値が安定しやすい  運動中の血糖値については,運動の順番にかかわらず,レジスタンス運動中にはほとんど低下はなく,有酸素運動において低下することが確認された。

一方で,有酸素運動先行(破線)に比べ,レジスタンス運動先行(実線)の方が,有酸素運動中の低下が軽度であった(図1)。また,運動終了後の回復期60分間における血糖値は,有酸素運動先行の方が血糖値が高く推移していた。

運動終了後の皮下間質液中の血糖値の変動をCGMで見てみると,有酸素運動先行の方が,運動終了後4~5時間(240~300分)までは高く,運動終了後9時間(540分)までは低く,その後,明け方にかけて再び高くなっていることが示されており,夜間にアップダウンが認められた。これに対し,レジスタンス運動先行では,徐々に血糖値が低下していくという一貫した傾向を示すのみであった。

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