最新医学の情報乱れ読み/2012-04-23
Tag: 閉じ込め症候群
「閉じ込め症候群locked-in syndrome」患者の72%が「幸せ」
- 自殺ほう助積極論に反証?
英国医師会(British Medical Association、BMA)発行のオンライン医学誌「BMJ Open」に掲載。
意識はあるが、瞬きや眼球運動以外の体の動きが完全に麻痺している「閉じ込め症候群」の患者の72%が、幸せだと感じているとうう調査結果が発表された。
閉じ込め症候群の患者の自殺ほう助議論に一石を投じた。
閉じ込め症候群は、脳幹の損傷に起因し、意識ははっきりしているものの動くことも話すこともできない状態。
ベルギー・リエージュ大(University of Liege)のスティーブン・ローレイズ(Steven Laureys)教授(神経学)率いるチームは、フランスの閉じ込め症候群患者団体ALISに所属する168人に対し、病歴、心の状態、生活の質に関する聞き取り調査を施行。
「幸せだ」との回答は72%。
「不幸せだ」は28%。
「自殺したい」は4%。
不幸せだと答えた人の多くは閉じ込め症候群になってから1年未満であり、とても不安だという回答や、体を動かせないつらさ、社会生活やレクリエーションに参加できない悔しさを訴える人が多かった。
ただし、回答できたのは168人中91人。
すべての質問に回答できたのはわずか65人。
研究者らは低い回答率により結果がゆがめられている可能性がある。
回答した91人のうち3分の2が自宅住まいでパートナーがおり、70%は信仰を持っていた。
欧州では、閉じ込め症候群患者の人生は耐え難いものだと認識がある。
患者の80%以上が10年以上生存し、なかには数十年間生存する人もいる。
論文は、「以上の結果は、(閉じ込め症候群の)急性期においていかに体が衰え患者が精神的苦痛に襲われようと、最善のケアをすることで長期的に大きな利益をもたらしうることを示唆している」と考察。
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