言たか放題/2015-09-23
Tag: 話題
心理士と心理師?
安全保障関連法成立のどたばたに紛れて、心理士(まだ師ではなく士)さん達の念願であった公認心理師法案が成立しました。
今は亡き元文化庁長官、河合隼雄氏をはじめとする心理士の皆さまの悲願であった国家資格がいよいよ現実のものとなることとなります。
ただ、法案では治療の開始決定権が心理士に与えられてはおらず、医師の指揮下にあることには不満も多いものとお察し申し上げます。
また、現状では、保険点数として心理士による心理療法が保険点数として認められるかどうかは全く不透明であり、
保険点数として認められなければ、心理士の就職状況が改善される可能性は低いのではないかと老婆心ながら心配しています。
ところで、同法施行後は、国家試験に合格した人以外は心理師と名乗ってはいけないことになります。
ただ、注意が必要なのは、
心理師すなわち心理「師」とは名乗ってはいけないけれど、
心理士すなわち心理「士」とは名乗ってもいいことです。
あるいは、カウンセラーであるとか、認定○○療法士とかも名乗っても規制はありません。
そして現在でもある程度権威があると認知されている民間(日本臨床心理士資格認定協会)認定の臨床心理士の位置づけがどのようになるかも不確定であるという問題も残されています。
臨床心理士も公認心理師の試験を受けなければならないようなので、多少の負担感はあるようですが、
臨床心理士の資格を持っている方には、公認心理師の試験はむつかしいものではないようです。
しかし、公認心理師の資格試験が臨床心理士の方々にとってむつかしいものではないのなら、
逆に言うと、公認心理師という資格が臨床心理士の下位資格になってしまう可能性が残されます。
国家資格が民家資格より優しいものであるなら、国家資格としての公認心理師の資格は権威を失うのではないでしょうか?
実際に公認心理師資格が実施されるのは2-3年後と予想されていますが、難関の心理学科に進学された臨床心理士となられた優秀な方々の将来が開かれることをお祈り申し上げております。