''心の障害論''
こころに生じた苦悩は身体の傷に例えられます
嫌なこと、苦しいこと、どうしようもないこと等々、悩むような状況はたくさん生じます。
このようなとき、ストレスになるかならないかを決めるのは「ストレスとなる原因についてどう認知するか」にかかってきます。
ある状況や出来事に直面したとき、過去の経験や自分の能力、助けてくれる人やシステム等から考えて、「対処不能だ」と認知したときにストレス反応は生じます。
しかし、得てして人はストレス要因について客観的に分析せず、直感で「望まないことが最悪の経過を辿る」というようにイメージして考え続けるという傾向があります。
この「考え続ける」という状態が、心の病気を発生させたり治らなくする要因となるのです。
ストレス反応からの回復過程は、身体の傷の回復過程に例えることができます。
身体に傷を負ったとしても、綺麗に消毒してガーゼを貼って、後はそのままにして傷が治っていくのを待てば自然治癒します。
しかし、その傷を「痛いなあ!どうなっているんだろ?大丈夫かなあ?」といって傷を触ったりひっつき具合を確かめるように開いたりすればいつまで経っても傷は治りません。
これと同様にストレス反応も、それについて考え続けるといつまで経ってもストレス反応から回復できず、ときにはもっと酷い状態になってしまいます。
人間の脳は基本的に意図的に気づかせなければ、考えていることと現実に生じていることとの区別がつきません。
ストレス状況について「考え続ける」と、自然と脳はストレス状況が今まさに生じているというように勘違いして、ストレス反応をさらに上乗せしてしまいます。
つまり、ストレス要因について「考え続ける」ということは、身体の傷を触り続けて傷が治らなくなるのと同じように、ストレス反応が消えていくことを邪魔してしまうのです。
では、どうすればいいのでしょうか?
それは、今生じていることは「自分がそう考えているだけで、現実に今まさに生じていることとは違う!」と気づくことです。
そう気づくとは、「今生じているのは『自分がそう考えているだけ』で今まさに現実に生じていることとは違う!」と脳に教えてあげることを意味します。
気づけば脳は、これは現実ではないと分かってストレス反応を拡大再生産することを止めます。
ストレス反応を拡大再生産しなくばれば、自然治癒力により回復しはじめます。
これができるようにするためのご相談が面接です。
気づくことは簡単に達成できることはではありませんが、根気よく一緒にワークし続ければ、必ず「気づき」を身につけることができます。
回復そして再発防止に、この「気づき」はなくてはならない要素なのです。
当院の治療
当院での面接は、この「気づき」を重視して構成されています。
ただ、気づくことだけで対処が困難なケースがあります。
この場合には、思考を観察するという技法が必要となってきます。
思考を観察するスキルの向上を目指す面接も必要に応じ施行しています。
お薬のチカラを借りることも大切ですが、「気づき」や「観察スキル」によりお薬をより少なく、そしてより早く服用しなくて済むようになります。
ただし、お薬を初期には十分量使わないと治癒が困難な病気もありますので、詳しくは診察時に病状を把握した上でご説明ご相談いたしております。
早期の治療開始やご相談が、より早期の回復と再発予防に重要な要素となります。
病気ではないかと不安になっている方々や、非常に軽微な苦悩であってもご相談をお受けしております。
安心してご相談ください。