つぶやき一行/2021-07-21
Tag: 今日の「へーっ」
イノシトールがパニック障害に効く?
イノシトールという物質が、パニック障害に有効であるというイスラエルの研究報告があったので紹介します。もしイノシトールがパニック障害に効くというなら、抗うつ薬などを飲みたくないパニック障害の人にとっては1つの選択肢となるかもしれませんね。イノシトールはサプリメントとして一般に販売されていますから、病院にも行かなくて済むかも?
研究報告の内容
パニック障害の患者さん20人をフルボキサミン(日本でも発売されているSSRIを1日量で150mgまで)を飲んでもらったグループとイノシトール(1日量で18gまで)を飲んでもらったグループに分けてに厳密な評価(二重盲検法)をおこなったところ、フルボキサミンほどではないけれど、イノシトールを飲んだグループでは1週間あたりのパニック発作を減らせることができたというのです。また、改善されたパニック障害の症状としては攻撃性・嘔吐・恐怖感などが上げられています。
パニック障害のお薬を飲み続けられない人も多いということも考え合わせれば、発作の回数が減って個別の症状も減るということは、副作用で治療薬を飲めない人にとっての向精神薬以外の治療手段として有望であるということかもしれません。また、SSRIなどの向精神薬の減量もしくは早期の中止が可能となるかも。今後の発展的研究を期待したいところです。
イノシトールとは?
イノシトールは、米糠(こめぬか)から抽出されるブドウ糖の異性体(分子式は同じ記述されるが原子の配列が異なる物質)で、昔はビタミンB群に分類されていました。しかし、体内で生成もされるため、現在はビタミン様物質と分類されています。
情報源
Alex Palatnik et al,Double-Blind, Controlled, Crossover Trial of Inositol Versus Fluvoxamine for the Treatment of Panic Disorder, Journal of Clinical Psychopharmacology: June 2001 - Volume 21 - Issue 3 - p 335-339.
https://journals.lww.com/psychopharmacology/Abstract/2001/06000/Double_Blind,_Controlled,_Crossover_Trial_of.14.aspx